不動産デューデリジェンス
masa

こんにちは、MSインテグラル・デザイン研究所の斉木です。最近、不動産ビジネスのコンサルティングを始めたからなのか、その関連の投稿が多くなってきました。

今回は、不動産取引におけるデュー・デリジェンスの重要性とその調査項目について、また権利関係や公法上の規制等についての調査方法、不動産に対する権利を保護し、取引の安全を図るために権利変動を公示する制度である不動産登記などについて解説しましょう。

不動産取引におけるデユー・デリジエンス

デュー・デリジェンス(Due Diligence)の目的は投資物件の真の投資価値を見極めることにあります。

参考▼ アメリカでは不動産取引に際し、建築、法律、経営及び環境等に関する多面的な調査が行われています。デュー・デリジェンスとはこのような調査、分析のことをいいます。

アメリカにおいては買主の自己責任が強く求められています。

そのため、投資家が投資を行う際には、広範囲なリスク分析が必要となります。

したがって、デュー・デリジェンスの考えは不動産に限らず非常に広い範囲にわたって適用されます。

日本でも不動産の証券化が広まるにつれてデュー・デリジェンスの重要性が認識されるようになりました。

J―REITのデュー・デリジェンス

例えば、J―REITなどは、取得基準のひとつとしてデュー・デリジェンス項目を開示しています。

主に次のような項目が挙げられていますのでご紹介します。

①物理的状況調査

a)土地関連調査

所在及び地番、地日、地積、隣地との境界確認、地質、地盤等

b)建物関連調査

所在及び家屋番号、建物構造(耐震調査)、用途、床面積、建築時期等、建築(外装、内装、屋上、外構等)、設備関係、建築のグレード(再調達価格)、維持・保全・修繕費用、増改築等(改修、修繕履歴等)、建築基準法との関係(違反建築等)、アスベスト等の有害物質等

c)環境関連等調査

騒音・振動、土壌汚染・大気汚染等各種汚染、危険・嫌悪施設等、地中埋設物、地震等災害関連生

d)地域関連調査

交通、エリア評価、再開発の有無、道路計画、新規交通利便性(地下鉄の開通など)、人口推移、地域特性

②法律的状況調査

a)権利関係調査

登記記録等による調査(所有権、区分所有権、共有持分、地上権の設定状況、抵当権・根抵当権……債権者名、債務者名、抵当権者名、債権額、極度額等)

b)賃貸借契約関連調査

契約当事者名、契約内容・条件、契約期間等

c)占有関係調査

占有状況、占有者名等

③経済環境調査

a)賃料収入及び経費関係調査

賃料収入[月額賃料、一時金(権利金、敷金・保証金等)の名称・性格及び額、賃料の未払い状況、過去の実績]。賃料相場、運営支出(維持管理費、修繕費、公租公課、損害保険料、その他)及びそれらの過去の実績

b)テナント調査

テナント名、個人(職業や身分)、法人(会社の業績、上場・非上場等)

c)市場分析

経済、金利、税制、行政等の社会的要因不動産賃貸及び売買市場の動向(新規開発、競合関係、近隣地域の経済動向等)、空室率(稼働率)、賃料、経費の変動状況等

④対象不動産の収支予想と価格の査定

上記の調査を通じて得られた収支状況等をもとに将来の収支予想を行い、収益物件については収益還元法を中心に対象不動産の価格の査定を行う。

不動産の権利と種類

不動産に対して成立する基本的な権利

不動産の上には物権と債権が成立しますが、この2つの権利はまったく異なるものとして扱われます。

物件について

①定義

物権とは人が物に対して、物を直接かつ排他的に支配する権利、すなわち、人の物に対する権利である。

②種類

所有権、地上権、永小作権、地役権注1、入会権、留置権注2、先取特権、質権、抵当権等がある。

③性質

a)直接的支配権

他の人を介することなく物を直接的に支配する権利。

 

注意点▼

注1: 地役権:地役権は自己の土地の便益に供するために他人の土地を使用する物権である。引水や通行のために利用される権利である。

注2: 留置権:他人物の占有者がそのものに関して生じた債権の弁済を受けるまで、そのものを留置して弁済を間接的に強要する担保物件

 

b)排他的支配権

同一内容の物権は同一客体の上に併存し得ない、つまり、1つの物にAが所有権を持っているときは、同じ物につきBの所有権は成立し得ません(他の権利は排斥される)。

また、妨害の排除等を請求しうる権利(物権的請求権)、例えば土地の所有者が不法占拠者に「出ていけ」と要求できる権利なども物権には認められています。

このように物権は非常に強力な権利であり、第三者に不測の損害を与えるおそれがあります。

従って、第三者の保護のために公示する制度(登記等)が必要なのです。

債権について

①定義

債権とは、特定人(債権者)が特定人(債務者)に対して一定の財産上の行為を請求することを内容とする権利、すなわち、人の人に対する権利である。

②種類

貸金債権(金銭消費貸借に基づく請求権)、損害賠償請求権、賃借権等

③性質

契約自由の原則に基づき、当事者間の合意(約束)でどのような内容の合意もなし得るが、拘束力はその当事者間にしかなく、第二者には対抗できない。つまり、物権に比べると弱い権利である。

土地に対して成立する権利

土地に対して成立し得る権利のうち、重要なものは所有権と借地権です。

所有権

単独で所有している場合と複数で所有(共有)している場合があります。

所有者は法令の制限内において、自由にその所有物を使用、収益、処分することができます。

そして、土地の所有権は法令の制限内において、その土地の上下(合理的利用と物理的支配が可能な範囲)に及ぶ。

借地権

借地権とは、借地借家法に規定する建物所有を目的とする地上権、または土地の賃借権のことであり、物権である地上権と債権である土地賃借権があります。

また、単独で借地している場合と複数人が共同で借地している場合があります。

土地の使用貸借権は、土地使用の対価を払わずに土地を利用する権利をいいます。

これは、借地借家法で規定する借地権には該当せず、借地借家法の保護は受けられません。

建物に対して成立する権利

建物に対して成立しうる権利のうち、重要なものは所有権(物権)と借家権(債権)である。

所有権

①建物1棟に対する所有権

一戸建て住宅を所有する場合などのように、建物に対する所有権である。

②区分所有権

分譲マンションなどのように、その部分ごとを所有の対象とすることが認められたものを区分所有権といいます。

区分所有権に関しては、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)という特別法で詳細が定められています。

③賃借権(借家権)

建物賃借権は、借家権として借地借家法が適用され、借地借家法の保護を受けます。

抵当権

意義

債務者または第三者(物上保証人)が債務の担保として提供した不動産を、占有を移さないまま設定者の使用・収益に任せながら、債務の弁済がなされない場合に、その不動産の交換価値から優先的に弁済を受けることのできる担保物権です。

抵当権者(債権者)は、債務者が占有を移さずして担保として提供した不動産につき、他の債権者に優先して弁済を受ける権利を有します。

一方、抵当権設定者(所有者、通常は債務者)は、目的物たる不動産の占有を自己の下にとどめておくこともできるし、他に賃貸することも、他に売却することもでき、これらの場合に抵当権者の承諾を必要としません。

抵当権の設定を第三者に対抗するためには、登記を要し、また、同一の不動産に複数の抵当権を設定することもでき、その場合の優劣は登記の順位によります。

抵当権の効カ

①被担保債権の範囲

被担保債権の元本はすべて担保されますが、利息については、満期が到来した最後の2年分だけについてしか担保されません。

後頂位抵当権者や一般債権者などの第三者のために、抵当権の優先弁済権を制限しているのです。

②抵当権の効力の及ぶ目的物の範囲

a)土地に抵当権が設定された場合には、原則として、抵当権は抵当不動産(土地)だけではなく、その土地に付加して一体となった物にも効力が及ぶ(庭木、庭石等)。

b)建物は、土地と別個の不動産として取り扱われているので、土地に設定した抵当権の効力は建物には及ばない。

③抵当権の物上代位性

抵当権の効力は抵当不動産の売却、賃貸、滅失または損傷等により、本来の目的物に代わって抵当権設定者が受けるべき金銭その他のもの(代位物)の上にも及ぶ。これを抵当権の物上代位性という。

これは、抵当権が目的物の交換価値を把握する権利である性質上、その価値が現実化したときには、その代表物にも効力が及ぶためです。

例えば、抵当物件の建物が火災で滅失したことによって、その所有者が火災保険金請求権を取得した場合には、抵当権の効力はその火災保険金請求権にも及びます。

ただし、この場合には、火災保険金が債務者の一般財産に混入し両者の区別ができなくなる結果、物上代位ができなくなる事態が発生することも考えられます。

こうした事態は、あらかじめ建物等の火災保険金請求権に質権を設定しておき、火災保険金の支払い前に抵当権者がその債権を差し押さえられるようにすることで回避できます。

④優先弁済権

弁済期が来ても債務者が債務を弁済しない場合には、抵当権者は、抵当不動産を一定の手続きの下に売却して(競売)、その代金から、他の債権者に優先して自己の債権の弁済を受けることができる(抵当権の実行)。

⑤法定地上権注3

Aが土地と建物を所有していたが、建物についてのみ債権者のために抵当権を設定し、その後、抵当権が実行され、Bが建物を競落した場合、BはAの土地の上に当然に地上権を持つものとされます。

法定地上権は、抵当権設定当時、同一所有者に属する土地と建物があり、その一方または双方に抵当権が設定され、競売の結果、所有者を異にすることとなった場合に認められるもの。

⑥抵当権消滅請求

抵当不動産の所有権を取得した者(第二取得者)が抵当権者に一定の金額を提示して、その抵当権の消滅を請求する制度を抵当権消滅請求制度という。

抵当権消滅請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力発生前に行わなければならない(民法382条)。

また、登記された各債権者(抵当権者)に対し一定の内容を記載した書面による通知が必要である(同法383条)。

第三取得者から抵当権消滅請求のための書面の送付を受けた債権者が、その後2カ月以内に抵当権を実行して競売の申し立てをしない場合や競売の申し立ての取り下げや競売申し立てが却下された場合などは、抵当権消滅請求(書面記載の代価または金額)を承諾したものとみなされる(同法384条)。

⑦建物の保護(一括競売)

土地に抵当権を設定したのち、抵当権設定者等が同地Lに建物を築造した場合には、抵当権者はその建物を土地とともに競売することができる。

ただし、優先弁済は土地代金についてのみ認められ、建物代金は抵当権設定者に返還されます。

なお、優先弁済を受ける場合の土地代金は建付地としての価額ではなく、「更地としての価額」となります。

根抵当権

意義

例えば、一定の種類の取引により生ずる債権、手形上、小切手上の債権など、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権です。

根抵当権は、極度額に相当する目的不動産の担保価値の独立的支配権(枠支配権)であり、その枠をどう利用するかは、根抵当権者(債権者)と根抵当権設定者(不動産所有権者)との合意により、自由に形成されます。

根抵当権の確定

元本確定期日の到来などの根抵当権の確定事由の発生により、根抵当権の被担保債権が元本債権と特定的に結びつき、それ以上生ずる元本債権はその根抵当権によって担保されなくなります。

ただし、利息に関しては確定後も流動性を失わず、根抵当権の枠内で担保されます。

注意点▼

注3:法定地上権は、抵当権設定当時、同一所有者に属する土地と建物があり、その一方または双方に抵当権が設定され、競売の結果、所有者を異にすることとなった場合に認められる。

抵当権の登記などについて

抵当権は、登記をもって対抗要件とされ、登記記録上は権利部の乙区欄に登記されます。

被担保債権が弁済されるなどして消滅すれば、それに従って消滅します。(付従性)。

その場合には、設定してある抵当権の登記も抹消されることになります。

被担保債権を弁済したにもかかわらず、抵当権者が抹消登記手続きに応じない場合は、抹消登記手続きを求める訴えを提起する必要が生じます。

また、根抵当権の場合は、元本が確定しない限り、例えば、極度額(枠)内の被担保債権がすべて弁済され消滅しても、枠自体を存続させることができます(付従性の緩和)。

不動産に関する民法の規定

不動産に関する規制

不動産に関する規制には、国などからなされる公法上の規制と、私人間の取引についてなされる民法などの私法上の規定の2とおりのものがあります。

両者は、制度の趣旨。目的がまったく異なるものなので、個別に理解する必要があります。

公法上の規則

取引を制限するものとして国土利用計画法、農地法など、利用を制限するものとして都市計画法、建築基準法などがある(第6章第4節以下参照)。

私法上の規則

民法とその他の法律

民法は原則法と呼ばれており、借地借家法、区分所有法などの特別法と区別されています。

また、民法は補充法とも呼ばれ、契約(または特約)がない場合(またはない部分)について、補充的に適用されます。

一方で、契約自由の原則に基づいて契約(または特約)をすれば、民法の規定に反しても構わないということになります(特約による民法の排除)。

しかし、特約をもってしても適用を排除しえない法律があり、これを強行法規といいます。

例えば、借地借家法における借地人・借家人に不利な特約を無効とする規定などです。

  • 強行法規・・・・・・借地借家法における借地人・借家人の保護の規定など。
  • 契約(特約)・・・・契約自由の原則。
  • 民法(補充法)・・特約がなくとも補充的に適用される。
民法の補充規定について

①法律行為等と法律効果

図表5-1

法律行為等 法律効果
契約

  • ア)売買契約
  • イ)贈与契約
  • ウ)抵当権設定契約
  • 工)賃貸借契約
 

  • 目的不動産の所有権の移転
  • 同上
  • 目的不動産に対する抵当権の設
  • 目的不動産に対する賃借権の設定
b)不法行為

  • ア)AがBの家を壊す
  • イ)AがBの土地に無断で掘立小屋を建てて不法占拠
 

  • BがAに対し損害賠償請求権(債権)を取得する(民法709条)
  • BはAに対し損害賠償(債権的請求権)及び掘立小屋を取り除けと妨害排除(物権的請求権)を請求しうる(民法198条、709条)
c)時効取得

  • AがBの建物を自己の物と 誤解して20年間占有(注:善意で過失のない場合は10年間で時効取得する)
  • AがBの建物の所有権を取得する(民法162条)
d)財産分与

  • AがBに不動産を財産分与する
  • BがAの不動産の所有権を取得する(民法768条)
e)相続

  • AがBの不動産を相続する
  • AがBの不動産の所有権を取得する(民法896条)

②法律行為に間違い(瑕疵)があった場合

a)AのBに対する意思表示(例:売ります、あげます)に瑕疵が存した場合

  • ア)強迫によりなされた場合 → 取り消しうる(民法96条)
  • イ)詐欺によりなされた場合 → 取り消しうる(民法96条)
  • ウ)錯誤によりなされた場合 → 無効(民法95条)
  • 工)虚偽の表示によりなされた場合 → 無効(民法94条)ただし、以上のうち一定の場合に善意の第二者が保護される(民法96条3項、94条2項)。

b)AまたはBに本来備わるべき資格・能力が存しない場合

  • ア)未成年者(法定代理人の同意なし)→ 取り消しうる(民法5条)
  • イ)被補助人(補助人の同意なし)→ 取り消しうる(民法17条)
  • ウ)被保佐人注4(保佐人の同意なし)→ 取り消しうる(民法13条)
  • 工)成年被後見人注5 → 取り消しうる(民法9条)
  • オ)無権代理人(代理人と称するが代理人ではない)→ 本人に効力が及ばない(民法113条)
  • 力)他人(本人と称するが本人でない)一 本人に効力が及ばない

ただし、以上のうち一定の場合に善意の第二者が保護される(民法109条~112条)

保証

主たる債務者Aが、債権者Bへの債務の履行をしない場合に、債務者Aに代わりAの債務を履行をしなければならないこととなる保証人Cの義務を保証債務といいます。

また、保証関係のうち、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担する形態を連帯保証といい、通常の保証よりも債権者に有利な点注6が多いため、通常の保証よりも実務では頻繁に用いられます。

参考事例▼

ケーススタディ

細川さんは、事業資金を調達するため、宇野さんから金銭を借り、その借入金の担保としてSW土地に抵当権を設定することにした。

連帯保証契約を中心に、本契約の法律関係を細かく見ていきたい。

抵当権設定金銭消費貸借契約書(抜粋)

甲:鈴木幸司

乙:吉田―郎

丙:楠田隆弘

丁:原田信二

以下のとおり、契約を締結した。

  • 第1条 甲は乙に対し、本日、金○万円を貸付け、乙はこれを受領した。
  • 第2条利息は元金に対し、年〇%の割合とする。
  • 第3条 乙は甲に対し、第1条の借入金○万円および前条の利息を平成〇年○月から平成〇年○月まで毎月末日限り、金○万円ずつ分割して返済する(元利均等分割返済)。
  • 第4条 丙は甲に対し、乙の債務を保証し、乙と連帯して支払いの責めを負う旨を約し、甲はこれを承諾した。
  • 第5条 第1条および第2条の金銭消費貸借契約に基づき、乙が甲に対して負担する債務を担保するため、乙および丁が所有するSW土地(所在地番等省略)の上に第1順位の抵当権を設定した。乙および丁は甲に対し、本契約締結後遅滞なく抵当権設定登記手続きを行うものとする。(その他の記載事項および条項は省略。なお、甲、乙、丙および丁は署名押印している)

[SW土地の概要]

現況:更地

所有者:吉田一郎(持分5分の3)

  • 注意4:精神上の障害により半」断能力が著しく不十分な者で、裁判所の保佐開始の審判を受けた者。
  • 注意5:精神上の障害により半1断能力を欠く常況にある者で、裁判所の後見開始の審判を受けた者。
  • 注6:通常の保証で保証人に認められている、催告の抗弁(民法452条)と検索の抗弁(民法453条)が連帯保証人には認められていない。

原田信二(持分5分の2)

[その他]

  • 設例の契約を以下「本契約」、設例の契約書を以下「本契約書」という。
  • 本契約については、本契約書以外に特約はないものとする。
  • SW土地は、細川さんと谷口さんが共同で購入したものである。

<本契約の吟味>

事業資金の必要から主たる債務者である乙(吉田さん)は、債権者である甲(鈴木さん)から金銭を借りた。

毎月○万円ずつ分割して返済することを約束したが、債権者である甲としては乙の返済が滞るのが心配である。

このため、甲は乙以外の丙(楠田さん)に保証人になってもらうことにした(保証契約の締結)。

保証人には「(通常の)保証人」と「連帯保証人」とがあるが、今回は「(通常の)保証人」よりも債権者にとって保全性が強い「連帯保証人」になってもらうことにした。

丙から「連帯保証人」になる約束を取り付けたものの、万全を期すため、第5条で、乙と丁(吉田さん)が共同で購入したSW土地に抵当権を設定した。

SW土地の共有者である丁としては、乙の借金のために自己の共有持分(5分の2)を担保に提供するのは喜ばしいことではないのだが、乙を信じる気持ちから了承したのであろう。

SW土地に抵当権を設定することで、乙の返済が万が一滞っても、甲はSW土地を競売に掛け、売却代金より残金と利息等の債権を優先的に受け取る権利を得たことになる。

<連帯保証契約の吟味>

乙の返済が帯った場合、債権者が債務の履行を求めてきても、「(通常の)保証人」は、まず主たる債務者への催告を請求する権利を有している。この権利を催告の抗弁権という。

催告の抗弁権により、主たる債務者への催告がないうちは、「(通常の)保証人」は保証債務の履行を拒むことができるのだが、「連帯保証人」にはこの催告の抗弁権自体が認められていない。

よって、乙への催促なしに丙への催促が行われたとしても、丙は拒むことができないのである。

また、「(通常の)保証人」には、主たる債務者の財産につき執行をなすまでは自己の保証債務の履行を拒む権利を有しており、この権利を検索の抗弁権という。

検索の抗弁権により、乙に資力がありその財産への執行が行われるまでは保証債務の履行を拒むことができるのであるが、「連帯保証人」にはこの検索の抗弁権自体も認められていない。

よって、乙に資力があるにも関わらず保証債務の履行が求められたならば、丙は拒むことができないのである。

ところで、SW土地には乙の主たる債務を担保する目的で抵当権が設定されている。

債権者の甲は、SW土地の競売と「連帯保証人」である丙への請求との両方が実行可能な状態にある。

ただ、競売の手続きには多くの費用と時間が掛かり、さらに回収できる金額が債務を下回る場合さえある。

このため、「連帯保証人」への請求の方が有利な場合が多く、「連帯保証人」は請求を拒むことが出来ないのである。

ではまた。

この投稿はNPO法人日本FP協会CFPカリキュラムに沿って記述しています。

初回カウンセリング

小さな改善で大きな成果を!

将来が漠然としているからこそより大きな成長が期待できる。もしも、既に適切なプランがあるとしたら一気に飛躍できる。

あなたのライフデザインについて一緒に考えてみませんか?