ライフサイクル
masa

こんにちは、MSインテグラル・デザイン研究所の斉木です。 今回は、ライフサイクルと投資信託の関係について解説しましょう。

個人の資産運用において、そのライフサイクルに即した組み立てを心がけていくことはとても重要です。

個人の資産運用は、機関投資家の場合と異なり、その運用期間が有限であるという点にあります。

機関投資家の場合は、例えば年金基金に代表されように、その制度が存続する限り永続するため、時間的な制約を受けることはまずありません。

一方、個人投資家の場合、

  • ライフサイクルに沿って消費と貯蓄行動が行われ
  • その過程において資産が形成され
  • 中高年を経て仕事から引退した後は、形成した資産を取り崩しながら生涯を終える

というのが一般的なスタイルとなります。

そして残った資産は遺産相続というかたちで相続人に引き継がれます。

したがって、個人の運用期間は個人の寿命ということになり、その運用期間は有限ということになるのです。

リスク配分をどのようにライフサイクルに関連付けるのか

こうしたライフサイクルに即した個人の投資行動の中で最も重要なことは、やはり個人投資家のリスク配分をどのようにライフサイクルと関連させ決めていくのか、という点にあります。

例えば、株式等のリスク資産については、短期投資ではなく、長期間の投資が望ましいとされています。

そのため、

  1. 若年時においては株式比率の高い組み合わせを行い
  2. 高齢になるにしたがってリスク水準を引き下げていく

というスタイルが一般的です。

このような考え方に即した運用商品として、ターゲット・イヤー型ファンドと呼ばれる分散投資型バランス・ファンドも販売されています。

参考▼

ターゲット・イヤー型ファンドとは、例えば退職時期のような、あらかじめ目標とする年を決め、最初は積極的な運用を行い、退職時期(ターゲット・イヤー)に向け安定運用の割合を引き上げていき、設定した時期に達したら、完全に安定運用に切り替わるような投資信託のことです。

人的資本の影響を考慮する必要がある

masa

人的資本とは、個人が将来稼得する所得を現在価値として捉えたもの、つまり、将来キャッシュフロー(労働所得)を生み出す個人の能力です。

しかしながら、年齢のみで資産配分を判断していくのは非常に危険です。

なぜならライフサイクルに即した投資行動には、人的資本というものが大きく影響してくるからです。

人的資本は将来キャッシュフローですから、当然ながら若年時ほど大きくなり、加齢に伴って減少する、ということになります。

このような人的資本も資産価値の一つと捉えると、「個人の資産総額=金融資産+人的資本」という形で表すことができます。

したがって、金融資産の資産配分を考える場合、

  1. 金融資産のみで判断してはいけない。
  2. 人的資本を合わせた状態でバランスを考える。

つまり、人的資本を考慮しない資産配分は、ライフサイクルに即した資産配分になっていないということになります。

金融資産と人的資本は加齢に従って逆方向に動く

一概には言えませんが、通常、金融資産は年齢とともに増えていくため、その資産価値は年齢が進むにつれて増加する傾向が多いといえます。

一方、人的資本が将来キャッシュフローを生みだす能力だとすると年齢とともに減少するという特性を持っています。

つまり、金融資産の増加と人的資本とは加齢に従って逆方向に動く傾向にあるといえます。

  • 金融資産と人的資本の合計(=総資産)の推移は、個人の生産能力によってかなり異なったものになる。

給与所得者の場合

  • 個人の総資産を金融資産と人的資本との合計で考える場合、人的資本の性質が非常に重要な要素になる。

たとえば、公務員や給与所得者のような場合、将来キャッシュフロー(労働所得)は、比較的安定していると考えられるでしょう。

そのような場合の人的資本は定期的に安定したキャッシュフローを確保できるということからすると、ある意味その特性は、債券の保有に類似しているといえます。

このように人的資本の性質が債券に類似している場合、若年層ほど株式組入れ率を高めた方がいいという結論に至ります。

起業家や自営業者の場合

一方、起業家や自営業など、人的資本の性質が比較的不安定な将来キャッシュフローの場合、

  • ある意味その特性は、株式の保有に類似している。

このように人的資本の性質が株式に類似している場合は、若年層だからといって株式組入れ率を高めることは、さらにリスクを高めることになるため、できれば避けた方がいい、という結論に至ります。

人的資本と生命保険

人的資本とは、冒頭でも説明したように将来キャッシュフローですから、個人が生存しているということが前提となります。

したがって、人的資本というのは、常に死亡リスクにさらされているという特質を持っています。

すなわち、想定したよりも早く死亡してしまった場合、本来であれば獲得できたはずの収入がなくなるわけです。

  • 最終的な資産は当初想定していたものよりも少ない額で後続に継承されることになる。

生命保険は資産の目減りリスクを回避する手段

こうした資産の目減りリスクを回避する方法として一般的に用いられている金融商品が生命保険です。

  • 生命保険は、被保険者の死亡によって目減りしてしまう人的資本を契約によって補うことが可能。

このような喪失に対するリスクヘッジ機能を個人の資産運用に反映するためには、個々の将来キャッシュフローに見合った金額を算出しなければなりません。

その金額は、人的資本の喪失リスクが大きいほど高額になります。

生命保険の基本的な考え方は、対象となる人的資本の期待値と保険契約のリスク・リターン特性により、最適な金額が決定されるとされています。

しかし、実際には多くの場合、生命保険契約による回避が不足している状況がしばしば確認できます。

生死における期待効用を最大化する

  • 個人のライフサイクルにおける人的資本を考慮して生命保険の利用と資産配分を同時に決定することになる。

すなわち、人的資本のリスクをヘッジする保険契約を想定するとき、投資家の生死における期待効用を最大化する。

そのように資産配分と生命保険を契約する上での保険金額が決定されることになります。

  • この際、 保険契約が必要である要因としては、遺族の生活費、あるいは遺産相続に対する要素が存在する

ということに留意する必要があります。

生命保険の保険金は、被保険者が死亡した場合に保険金受取人である遺族が取得するものであって、本人が受け取るものではないからです。

したがって、保険金を遺族に残す動機がどの程度あるかが生命保険の契約が必要であるかどうかの動機になります。

前提条件の相違に基づく定量的シミュレーションが必要

このような動機の強さに加えて、

  • リスク回避度の差異
  • 保有金融資産残高の水準
  • 労働所得と株式リターンの相関関係

など、様々な前提条件の相違が金融資産の資産配分や生命保険契約にどのような影響を及ぼすかについて、定量的なシミュレーションが必要になってきます。

このように、人的資本の要素を組み込み、さらに人的資本の喪失をヘッジする生命保険と金融資産 を総合的に考慮していけば、ライフサイクルに対応した資産配分をさらに最適化していくことがが可能になるはずです。

遺贈動機は資産配分を左右しない

一般的には、加齢により人的資本が減少し、金融資産の増加が生じるとともに、リスク資産の比率が減少するという結論は前回の投稿で解説しました。

人的資本の喪失をヘッジする保険金の額も年齢増加により減少するといえます。

また、遺贈動機については、保険金需要に大きく影響するものの、金融資産の資産配分にはほとんど影響を及ぼさないことをご理解いただけたかと思います。

さいごに▼

リスク許容度への影響

リスク許容度への影響については、リスク回避度が高まると、リスク資産の配分が減少する他、保険需要も増加します。
さらに、保有金融資産の影響に関して云えば、
  1. 金融資産が増加すると人的資本の割合が相対的に低下する
  2. これを受け金融資産における安全資産比率を引き上げるという意思決定がなされる
  3. 結果的に安全資産比率が増加する。

という流れになるでしょう。

また、金融資産残高が増加すると、保険の需要は減少することになります。

ではまた。

初回カウンセリング

何も準備していただく必要はありません。

お気軽にお申し込みください。

※即日のご対応はいたしかねますので、ご予約の際は7日程の余裕をもってご予約くださいますようお願い申し上げます。