公的年金で不足する老後資金を、自主的な努力によって賄わなければならないような状況が、さらに顕著になってきた。

そのため、確定拠出型の年金制度の創設や確定給付型の企業年金なども労使の自主性を尊重しつつ制度整備が行われている。

確定給付企業年金について

確定給付型の年金とは、将来受け取る年金額を確定し、それに基づいて掛金を決める仕組みだ。

  1. 新たに厚生年金の一部を代行しなくてもいい基金型企業年金(基金型という)。
  2. 労使合意の年金規約に基づき外部機関で積み立てる規約型企業年金(規約型という)。

という2種類の確定給付型の年金がある。

  • 従来の制度から切り替える場合には、「基金型」「規約型」のどちらも選択できる。
  • 適格退職年金から「基金型」に移ることも可能。
  • 厚生年金基金から「規約型」に移ることも可能。
  • 確定拠出年金(企業型)への移行も可能。
私的年金 職域 企業年金 厚生年金基金
確定給付企業年金
確定拠出年金
中退共・特退共
非職域 個人年金
国民年金基金
確定拠出年金(個人型)

確定給付企業年金制度の概要

  1. 積立基準、受託者責任、情報開示等統一的な基準を定める。
  2. これを満たすものについて承認を行う。
  3. 併せて税制措置の整備を行う。

確定給付企業年金制度の基金型

  • 母体企業とは別の法人格を持った基金を設立。
  • 年金資産を管理、運用、給付を行う企業年金。

※「基金型」は、国に代わって厚生年金の一部を管理、運営するという代行部分を持たない。

また、厚生年金基金は代行部分を国に返上して「基金型」に移ることが可能だ。

確定給付企業年金制度の規約型

  1. 労使が合意した年金規約を作成。
  2. 規約に基づき企業が資産管理運用機関と契約を結ぶ。
  3. 母体企業の外で年金資産を管理、運用、給付を行う。

「規約型」は、積立不足が許されない。

したがって、毎年度、年金財政を検証し、積立不足がある場合は掛金を増やさなければならない。

そして、当然ではあるが、積立状況についても従業員に開示する義務が定められている。

確定給付企業年金制度の開始

  1. 労使合意の規約を作成。
  2. 「基金型」の場合は基金の設立について厚生労働大臣の認可を受ける。
  3. 「規約型」の場合は当該規約について厚生労働大臣の承認を受ける。

※労使合意の労働者側:過半数で組織する労働組合、または労働組合がなければ労働者の過半数を代表する者のこと。

年金規約に規定する主な内容

  • a)受給資格。
  • b)給付内容、方法。
  • c)掛金負担。

確定給付企業年金法が施行されたことに伴い、適格退職年金の新設は平成24年4月1日以降認められなくなった。

したがって、平成24年3月31日までに廃止もしくは他の制度(確定給付年金、確定拠出年金、中退共等)に移行になった。

※適格退職年金は他の企業年金と比べ、受給権保護の面で不十分だったことが要因。

確定給付企業年金制度の加入者の範囲

  • 厚生年金適用事業所の被保険者などが加入対象。
  • 一定の年齢や勤続年数を要件とすることはできる。

※注意:特定の者について不当に差別的なものであってはならない。

確定給付企業年金制度の給付内容

  1. 法定給付(老齢給付金、脱退一時金)。
  2. 任意給付(障害給付金、遺族給付金)。

上記の2種類がある。

老齢給付金

  • 規約で定められた年齢(60歳以上65歳以下)に達したときに、終身または5年以上にわたって年金として支給。

※規約で定めれば50歳以上60歳未満で退職した人に対しても支給できる。

※本人の選択によっては、年金ではなく一時金を受給することもできる。

脱退一時金

  • 老齢給付金を受けるための要件が満たされないときは、脱退一時金を支給。
  • 一時金受給資格期間は3年を超えて定めることはできない。

障害給付金(任意給付)

  • 傷病により規約で定める程度の障害の状態になった場合に障害給付金を支給。

※年金または一時金として支給。

遺族給付金(任意給付)

  1. 加入者または老齢給付金の受給者。
  2. その他の人のうち規約で定める人。

上記の人が死亡したとき、その人の遺族に遺族給付金を支給する。

※年金または一時金として支給する。

掛 金

事業主は、年金給付及び一時金たる給付に要する費用に充てるため、掛金を拠出しなければならない。

  • 掛金は事業主負担が原則。
  • 規約で定めた場合には加入者本人の同意を前提として、本人拠出も可能。

資産運用

あ年金資産の運用は、安全かつ効率的に行わなければならない。

  • 原則として、生保、投資顧問業者などが行う。

※資産の管理運用の体制が整っている場合は一定の条件のもとに、基金は自ら資産運用を行うことができる。

制度の終了(解散)

事業主と加入者が、制度の終了について一定の手続きを経て合意した場合。

例えば、、、

  • 厚生労働大臣の承認を得た。
  • 母体企業の破産などにより継続不能となった。
  • 厚生労働大臣が規約の承認または基金の設立認可を取り消した。

上記のような場合には、制度を終了(解散)することができる。

※注意:その際の残余財産は、加入者等に分配することになっており、事業主への返還は認められていない。

受給権の保護

事業主等に積立義務、受託者責任、情報開示を義務づけている。

積立業務

事業主等は、約束した給付が将来にわたって支給できるように、年金資産の積立を行わなければならないことになっている。

  1. 年金資産の積立は母体企業の外部で行う。
  2. 年金財政の健全な運用のために、少なくとも5年に一度の財政再計算と毎年の定期的な財政検証を行なう。

受託者責任

企業年金の管理、運営に関する者は、

  1. 加入者に対する忠実義務。
  2. 分散投資義務。
  3. 利益相反行為の禁止。

などの行為準則を規定に明確化することになっている。

情報開示

  • 事業主等は従業員に対し、年金規約の内容を周知しなければならない。
  • 掛金納付状況、資産運用状況、財務状況について加入者等への情報開示及び厚生労働大臣への報告を行わなければならない。

制度間の移行

確定給付型の制度間の移行

  • 基金型、規約型、厚生年金基金各制度間で、制度を移行し、年金資産を移換することができる。

※厚生年金基金から基金型、規約型へ移行する場合、代行部分については、一定の条件の下に現物による返還が認められている。

確定拠出年金制度への移行

  • 基金型、規約型の年金資産を個人ごとに分配し、確定拠出年金(企業型)へ移換することができる。

税 制

確定給付企業年金法に基づく拠出、運用及び給付の各段階の税制上の措置は以下の通りだ。

拠出段階 事業主拠出掛け金 事業主の所得の計算上、損金(必要経費)に纂入するとともに、当該掛金に係る従業員の給与所得の計算上、収入金額に算入しない。
加入者拠出掛金 生命保険料控除を適用する
運用段階 事業主が拠出する掛け金及びその運用益を対象として、特別法人税、法人住民税を課税する。※特別法人税に関しては、法人税の課税凍結措置を実施中。
給付段階
  • 年金給付の老齢給付金 :雑所得となり、公的年金等控除を適用。
  • 一時金払いの老齢給付金:退職所得とみなし、退職所得課税。
  • 障害給付金:所得税及び住民税は非課税
  • 遺族給付金:相続税法上のみなし相続財産(退職手当に含まれる給付)として、相続税の課税対象。※所得税及び住民税は非課税。

確定給付企業年金のまとめ

確定給付企業年金
法的根拠 確定給付企業年金法
設立 基金型 規約型
厚生労働大臣の認可を受けて基金を設立 外部機関と契約を締結し厚生労働大臣の承認
運営主体 基金(事業主とは別の法人) 企業
人数要件 300人 特になし
掛金負担 事業主負担が原則。本人拠出は、年金規約で定め本人の同意を前提とする
受給資格期間 年金給付の受給資格期間は20年を超えてはならない
給付期間 終身年金または5年以上
積立義務 年金給付に必要な積立てを義務づける
積立金の返還 剰余が生じた場合の返還は行わない
積立金への課税 特別法人税を課税(本人拠出分を除く)平成25年度末(2014年3月末)まで凍結
受託者責任 加入者等のための忠実義務・利益相反行為の禁止等の行為準則を明確化
情報開示 年金規約の内容を従業員に周知し、掛金納付状況、財務状況、資産運用状況について加入者等へ情報開示を行う

次回は、企業年金制度のうち確定拠出年金についてです。

ではまた。

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