企業年金制度の基礎知識(厚生年金基金編)

企業年金とは、企業が主体となって年金を支給する制度だ。

その目的は、従業員の退職後の生活安定にある。

その種別は以下のようになる。

私的年金職域企業年金厚生年金基金
確定給付企業年金
確定拠出年金
中退共・特退共
非職域個人年金
国民年金基金
確定拠出年金(個人型)

厚生年金基金について

  • 厚生年金の老齢厚生年金の給付の一部(報酬比例部分のみ)を国に代わって支給。
  • 一定の企業年金を上乗せすることにより、老後について厚生年金よりも手厚い給付を行う。
  • 厚生年金基金という特別法人を設立して運営にあたる。

厚生年金基金の特色

  • 一定の割合で上乗せした給付を行う。
  • 代行部分の1割以上が加算される。

つまり、本来の老齢厚生年金の額より1割以上多く支給される。

※加給年金額、過去の平均標準報酬月額の再評価分及び物価スライド分は国から支給。

※年金資産の運用は、生命保険会社または信託銀行で運用管理される。

最近では、資産運用の規制緩和が行われ、投資顧間会社などに資産運用を委託する形で自主運用する基金が多くなった。

この背景には、長期にわたる株価の低迷や超低金利による運用難といった事業があるだろう。

厚生年金基金の概要

①実施主体

  • 厚生年金保険法による厚生労働大臣の認可を得て設立される特別法人。
  • 適用事業所の事業主とその適用事業所に使用され る被保険者により組織される。

②設立の要件

  • 単独設立:常時雇用される従業員が1000名以上の企業が1社で設立。
  • 連合設立:株式の持ち合いや役員派遣などの関連企業が中心になって設立。
    ※原則、常時雇用される従業員が1000名以上。
  • 総合設立:同種同業の企業が集まって同業組合などを中心に設立。
    ※常時雇用される従業員が5000名以上。
  1. 加入員となるべき従業員(被保険者)の2分の1以上の同意が必要。(対象となる被保険者の3分の1以上で組織する労働組合があるときは、その同意を要する)
  2. 厚生労働大臣の認可を受けて、特別法人「厚生年金基金」が運営を行う。

③加入者

その事業所で働く厚生年金の被保険者全員。

厚生年金基金の掛金

  • 厚生年金保険料のうち、基金に加入する事業所は1000分の24から1000分の50の保険料が免除される
  • 免除分は独自に積み立てられる掛金と合わせて基金で運用されている。

厚生年金基金の給付

  • 基金の給付は代行部分は終身年金となる。
  • 加算部分は退職一時金として受け取ることが可能。

※受け取り方法などは基金ごとの規約に従う。

10年未満の厚生年金基金の短期加入の中途脱退者については、すべてその原資、権利、義務関係は企業年金連合会へ引き継がれる。

そして、年金は将来、企業年金連合会から支給される。

基金が解散した場合も、企業年金連合会から支給される。

それ以外は加入していた基金より支給される。

厚生年金基金の税の取り扱い

①掛金

  • 企業負担分は全額損金算入必要経費計上。
  • 被保険者負担分は社会保険料控除。

②給付

  • 年金受け取りの場合は雑所得(公的年金等控除あり)として課税。
  • 退職一時金として受け取る場合は退職所得課税。

厚生年金基金、代行返上

平成14(2002)年4月より厚生労働大臣の認可により、厚生年金代行部分の返上が可能となり、代行返上や解散する基金が増え、平成25(2013)年5月1日現在の基金数は555基金。

代行返上とは、厚生年金の運用や給付の一部を運用(代行)している部分を国に返上すること。

基金は厚生年金の掛金の一部を国に代わって株や債券などで運用してきたが、金利の低下や株価の下落で基金に求める利回りは難しくなっていた。

その足りない分は企業が穴埋めすることになり、業績への悪影響が大きいために、代行返上を認めざるを得なかったということだ。

厚生年金基金

厚生年金基金
法的根拠厚生年金保険法
設立厚生労働大臣の認可を受けて基金を設立
運営主体厚生年金基金(事業主とは別の法人)
人数要件単独設立1000人以上連合設立1000人以上総合設立5000人以上(地域型は2000人以上)
掛金負担事業主と加入員で折半負担が原則。ただし、加入員の掛金が免除保険料の1/2を下回らない範囲で事業主の割合を増加できる
受給資格期間加算部分の年金給付の受給資格期間は20年を超えてはならない
給付期間終身年金が原則
積立義務年金給付に必要な積立てを義務づける
積立金の返還剰余が生じた場合の返還は行わない
積立金への課税原則非課税(代行部分の3.23倍を超える部分に特別法人税を課税)
受託者責任忠実義務・利益相反行為の禁止等を規定
情報開示加入者は貸借対照表・損益計算書・業務報告書の閲覧を請求できる

次回は確定給付企業年金についてです。

ではまた。

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