
今回は思考に柔軟性を付与してイマジネーションを強化する方法などについてだ。
人間は思考の中に特別なスペースを確保し、そこに過去や未来といった架空の場面を映し出すことができる。
過去も架空だといったのは、過去も所詮、今の自分の思考によって想起されたものでしかないからだ。
自分が記憶の中からわざわざ引っ張り出してきて、現時点での考え方よって解釈し直さなければ、過去という場面は成立しない。
したがって、5年後には今の過去は、異なった過去になる可能性が十分ありえるということだ。
逆に言えば、この能力を利用して自分のイマジネーションを有効に働かせ、セルフイメージを改善していくことができる。
このスペースを利用する事で記憶やイメージを鮮明にすることができる。訓練によってこの能力をコントロールできるようになる。
目に見えるものは、自分も他者も認識できるが、思考の中にあるイメージはそうではない。
人によってはさほど練習しなくてもイメージをつくることができるが、かなり練習が必要な人もいる。
イメージをつくることが苦手だと言う人の中には、内声(頭の中で聞こえる声)や音、感覚を使って考えることが多い。
因みに私の場合は文字とイメージを同時に映像として認識していることが多い。
いずれにせよ、内声や音、感覚でもかまわない、自分が想起しやすい方法で構わないので、それを強化していってほしい。
自分に一番あっていて、一番良い結果が出る方法で取り組んでほしい。
どのようなことでも言えることだが、無理しないで、一歩ずつ、また楽しみながら行うのがコツだ。
イマジネーション力を研く
イマジネーション力を研くには、自分で方法を想起し、イメージを鮮明にしていくようにしていくのが一番いい。
しかし、そうはいってもなかなか進まない人も中にはいるだろう。
そうした人のためにイマジネーションを訓練する一つの方法を紹介する。
簡単な方法なので是非実践してみてほしい。
自分がホームシアターを所有し、その場所にいることを想像する。
そして、自分にとって快適でリラックスできる環境にその場を整えてほしい。
その想像上のホームシアターが実際のホームシアターと考え、細かいところを再度観察する。
壁の色、天井、広さ、ソファーの色、全体の感じや居心地など。
次に思考の中で、メンターなど自分が理想とする人のイメージをホームシアターのスクリーンに映し出す。
- イメージを拡大して徐々に近寄らせ、自分の感じが変わったかどうかを確かめる。
- 今度は、そのイメージをどんどん小さくし、その人を自分から遠ざける。消えそうになったら、今度は拡大して元の大きさに戻す。ここでも自分の感じ方が変わったかどうか確かめる。
- イメージの焦点を徐々にぼかし、その後元のようにはっきりしたイメージに戻す。
- イメージを次第に白黒のイメージに変え、その後、カラーに戻す。はっきりとした鮮やかな色になるまで戻す。
先ほど説明したようにイメージをつくるのが苦手な人は、その人の声を思い出すといい。
続いてその声を近付けたり遠ざけたりする。大きくしたり小さくしたりもする。
また低くしてみたり、高くしてみたりする。
早くしゃべらせたり、ゆっくりしゃべらせたりもする。
そのよにしながら自分の感覚が変わったかどうかを確かめるようにする。
イメージの大きさや距離、色が濃いときや焦点があっているときに、イメージが強くなり、逆の場合はイメージが弱くなるはずだ。
ただし、人によってはその現象が反対に出る場合もある。
イメージをどう変えれば、感覚が強くなったり弱くなったりするのかを確かめ、自分のパターンを認識しておくといい。
人物以外にも応用できるのでいろいろと試してみてほしい。
ステップイン⇔ステップアウト
自分が思考しているイメージの中に入ることをステップイン、そこから出ることをステップアウトと云う。
ステップインとステップアウトはイマジネーションの中でも特に大事な方法だ。
そして、ステップインとステップアウトの練習は正確に行ってくことが大切だ。
そうすることで成功、達成、幸福感、満足といった良いイメージを自分の思考に強く焼き付けることができる。
早速、ステップインとステップアウトの練習を始めたいところだが、まずその前にあるセルフイメージを作っておく必要がある。
効果を最大限にするために必要なことだ。
どのようなイメージかというと、強くて、あらゆる能力が高く、何事にも前向きな自分をイメージしてほしい。
そして、必ずこのイメージ作りを毎日数分間行ってからステップインとステップアウトの練習をスタートするようにしてほしい。
シンプルだけど非常に効果がある。
こうしたワークは言い方を変えてNLPなどの下位概念でも取り入れられている。
過去の不愉快な記憶を思い出した後、そこからステップアウトする。
ホームシアターの部屋に入室し、ソファーに腰掛け、過去の不愉快な時の自分をスクリーンに映し出す。
この時のポイントは、スクリーンをできるだけ小さくし、できるだけスクリーの中にいる自分を遠ざけるようにして、その記憶を眺めるようにすることだ。
なぜなら、ここでその不愉快な記憶をもう一度体験しないようにするためだ。
その他の不愉快な経験を思い出し、同じことを繰り返す。
スクリーンに楽しかった記憶や愉快だったでき事を順番に映し出す。
今度は、愉快だったでき事を思い出す。
その記憶をスクリーンに映すたびに記憶の中にステップインしていく。
ステップインしたらその体験を現実のものとしてもう一度味わうようにする。
人間には固定点を持ちたがるといった生まれ持った習性がる。
固定点を拠り所とすることで安心感が得られるからだ。
したがって、自分が最高の自分として機能するようにしたい時は、思考の中に明確な固定点(良いイメージ)を与えてあげればいい。
そのことによって、思考が固定点に向かって働くようになる。
しかも自覚のないまま自動的に作動する。
与えた固定点が成功や達成のためだった場合には、思考は成功のメカニズムとして働く。
一方、失敗のマイナスイメージだった時は、自動的に失敗のメカニズムとして働く。
したがって、この特性を理解することで、自分に成長を促すことができるだけではなく、自分が思い描いている人生を生みだすこともできる。
ただし、そのイメージがパラノイア的なものではなく、アチーバブルゾーンであることが条件だ。
できれば一日毎に基準を設けてほしい。
その基準は現実的で簡単なものの方がいい。
基準をクリアーする事で成功体験を得ることができるからだ。
そして、その成功体験が思考に追記され類似性となり自信につながっていく。
例えば、当初、私の場合は、1時間瞑想したか、塾生のために2つの記事を投稿したか、ブログ記事を書くためにデスクに2時間以上向ったか、パートナーと会話できたか、母にお茶を淹れたか、泳いだか、といったことを毎日の基準としていた。
- ノートに基準を書き出してほしい。最初のうちは簡単に実践できるシンプルな基準がいい。その後「成功の習慣」が身に付くに従ってだんだん難しい基準を設定し、それをクリアーできるようにしていってほしい。
- ホームシアターに座り、基準をクリアーした自分をスクリーンに映し出す。スクリーンにステップインして基準をクリアーした満足感と喜びを再度体験する。
- 基準の欄の下に手順の欄を設け、基準をクリアーするのに必要だと思われる手順、またはステップを記載する。この手順は想像できるものだけでよく、ステップ全部を書く必要はない。なお設定した基準が明瞭であればシステムが自動的に働き、必要な手順はほぼ自動的に思い浮かぶはずだ。
なぜ手順が必要なのだろうか。
手順を書いてみると分かるが、近道がわかったり、優先順位が明確になったりする。
人間誰しも思い込みというのがある。
どのようなことを試みたとしても、その思い込みによって以外に同じような行動しかとれないものだ。
それがうまくいくパターンならいいのだが、その逆の場合の方が多い。
手順を書くことによって全体が俯瞰できるようになり、勝手な思い込みが薄れ、行動が変化する。試してみてほしい。
今日という日を前向きに振り返る
一日の終りに「今日やるべきこと」ができたかどうかを振り返ってほしい。
反省するという意味ではない。
一日の終りに意気消沈するのは良くない。
だから、明日という日を改善するという意味で一日の行動を点検してほしい。
- 愉快な気持ちで過ごしただろうか
- 嫌なことや腹がたったこと、失望したことは忘れただろうか
- 昨日、間違いをしてしまったが、それを克服できただろうか
- 自分にも他人にも優しく振る舞っただろうか
- 自信を持って行動しただろうか
- 他人ではなく自分自身として行動しただろうか
- 自分はクリエイティブな人間であることを自覚しただろうか
- イマジネーションの力でセルフイメージを高めることができるが、それをしただろうか
- リラックスしてセルフイメージを高めなければならなかったが、それができただろうか
- お礼の手紙は書いただろうか
- 大切な人にちゃんと気持ちを伝えただろうか
上記のようなことを点検していて、もしも、明日に期待が抱けず、気力が萎えてしまうような状態なら、とりあえずこのワークは後回しにした方がいい。
とても疲れている証拠だからだ。
人間、元気で前向きなときには気力が萎えるということはない。
疲れているとちょっとしたことでも気が滅入ったり、怒りたくなったりする。
そのような時には、仕事も学ぶことも何もかもすべて放棄して2~3日思いっきり休んだほうがいい。
風邪を引いて体調が悪かったら世界観は変わる。
だから世界観とは健康状態のことだとも言える。
したがって、世界観そのものをみるよりも、その世界観を成立させている背景を一歩退いて眺めてみた方がいい。
ただぼーっと雲を眺めているだけでもいいかもしれない。
公園や川沿いをプラプラと歩くのもいいかもしれない。
とにかくそうしたことも人間にとっては必要なことなのだ。
養老孟司先生が著書の中で言っていた。
自然のものを一日に10分でいいから見ていると、自然と頭がよくなる。
と。
自信を自信の上に養っていく
洗濯ばさみでも、クリップでも、じゃがいもでもなんでもいい、小さなものを1つチョイスして、それを何処かにおいて毎日眺めるようにしてほしい。
この時に自分のセルフイメージがその小さいものよりも大きいということを意識しながら見るのがポイントだ。
そうしている時に浮かんだイメージを大切にすることだ。
それが言葉であればその場で書き留めてほしい。
例えばそれが次のような言葉かもしれない。
- 後悔や恨みといった言葉はすてよう。そのような言語は全く価値のないものだ。
- 許そう、それでも許せない自分がいる。しかし、それも許そう。
- もうこれ以上、自分の欲望を満たすためだけに貴重な時間を使うのは止めよう。
- あの時、あの瞬間に私は確固たる自信を感じていた。
人生を豊かなもにするためには、以前持っていた自信、今持っている自信を使って、自分のセルフイメージを養い、成長させなければならない。
- 自分の人生における第一の目的はなんだっただろうか?
- 自信を持つということにもっと時間を使うことができたとしたら、どんなことが起きるだろうか?
- 過去の成功の感触を思い出すことができたら、今後の行動はどう変わるだろうか?
- 自信を持って行動することができたら、世界観はどう変わるだろうか?
- 自信は自信の上に育つということが理解できているとしたら、どんな結果が望めるだろうか?
以前に自分が持っていた自信を思い出し、その自信をセルフイメージに焼き付けてほしい。
過去の記憶をたどっても、成功したときの経験をどうしても思い出せない人がいるかもしれない。
そのような時は、何かをしてうまくいった時の自分がどう見えるか、どう行動したかを想像してほしい。
人間の脳は実際の体験と想像上の体験を区別できないということをあなたもどこかで聞いたことがあると思う。
したがって、自信を強く感じたら「自分には自信がある」と言い聞かせる。これを何度も何度も繰り返しているうちに、すぐに自信がわいてくるようになる。
まだまだ、70種類以上のワークがあるが、このあたりでセルフイメージワークの紹介はとりあえず止めておく。
さいごに
心配事や不安というものは、決してなくなるものではない。
人は死ぬことからは逃れられない、ということを本能が認知しているからだ。
したがって、それらの感情が強く感じられるよになったときは、はっきりとした前向きな基準を設けて(言語化)その基準について(的を変える)「前向きに心配」するようにする。
その基準をクリアーすることにフォーカスして、ゆっくり着実に進みながら、クリアーできるようになるまで改善し続ける。
そのプロセスにおいて気持ちが沈んだ時には、その気持を自分に課せられた課題として前向きに受け止めるように努力する。
そのためには改善をプランする必要もある。
自信とは消極的な気持ちや失敗を乗り越えるための原動力であることを思いだそう。
不満や自己不信といった不快な感触を薄め、自信の感触を強めることを習慣にしよう。
過去の不満や不快感は3,000m先の2㎝×2㎝程度のちっちゃなスクリーンに米粒のようにちっちゃく映し出そう。
そして、新しく新鮮な自信と満足感を大空のスクリーンに最大限に、視界の許す限り、大きく大きく映し出そう。
自信は自信の上にしか育たないということを理解して、もっと自分を信じる技を身につけ、それを研いていこうじゃないか。
そのためには自分とは何かを見極めていく必要がある。
ということを最後に付け加えておきたい。
ではまた。