言葉で人を動かす:効果的な言葉の置き換え術

私たちが知らず知らずのうちによく用いているものに「三大言い訳」というものがあります。

いわゆる「お金がない」「時間がない」「自信がない」という言葉です。

そう、取り組むことから逃避するために、私たちがよく利用する言葉です。

優秀なマーケッターやセールスのプロは、この類の言葉を排除するのがとても上手です。

マーケティングの教科書を覗いてみると同じようなことが書かれています。

「三大言い訳」が発生しないようにあらかじめ排除しておくことが大切だ!と。

別な言い方をすれば、この三大言い訳を排除した状態でクロージングすることが大切だ!

ということになるでしょうか。

例えば、、

「行動するに際して、「お金がない」「時間がない」「自信がない」これらの言葉を使用する人は、自らチャンスを逃しています。」・・・というのが一般的な言い方になるでしょうか。

しかし、ある程度視点の高い人には、こうした言い方をしても響きません。

したがって、相手の視点がそれなりに高い場合は、別の言葉に「置き換えて」話す必要がでてきます。

もっと抽象度を上げて、これら全てを包括するような言語、例えば私なら「ルサンチマン」という言葉を使用するでしょう。

ルサンチマンを簡略に和訳すると「弱者の逆恨み」という言葉になるでしょか。

別な言い方をすれば、今起きていることから目をそらし、逃避し、自分の都合のいいようにその事実を解釈し直して、従前の世界観の中で安心を図る思考プロセス。

ルサンチマンとは、そういう意味であることを相手に説明した上で、次のことを語るようにするでしょう。

「たった今あなたが下した判断が、ルサンチマン的な決断になっていないか、もう一度考えてみてください。」

このように「お金がない」「時間がない」「自信がない」という言い訳は「ルサンチマン」という上位概念の言葉によって包括することができます。

相手がルサンチマンという言葉を理解した瞬間から、それまでよりも上位概念の世界を共有することになります。

つまり、メンターとメンティーの関係性が成立しつつあるということです。

では、その置き換えを逆に使用したらどうなるでしょうか?

例えば、「ルサンチマンを別な言い方をすれば、お金がない、時間がない、自信がない、ということです。」と。。

上位概念の言葉を、下位概念の言葉に置き換えてしまうと、どうしても抜け落ちてしまう要素があります。

ですから、適切に表現できない可能性が高まります。

それよりも・・・この置き換えは、相手の世界観(下位概念)に同調してしまうことになり、メンターとメンティーの関係性から返って遠ざかっていきます。

そう、人を動かすのが上手な人はこうした「言葉の置き換えがうまい」という共通点があります。

下位概念に置き換えようとすればするほど、その分上位概念からは乖離(かいり)していき、ありきたりの文脈になります。

こうした上位概念と下位概念の置き換えの関係性を理解した上で、相手がわかる言葉で上位概念に導く、それが相手を動かす要因となり、お互いのプラスにもなります。

相手が低い階層から引き上げられ、自己の変化をナチュラルなカタチで実感できるからです。

私が安易な「置き換え」を好まない理由もここにあります。

あらゆる成果を左右するのからです。

相手が低い階層に停滞したままでは、その成果は粗末な結果に終わるでしょう。

ですから、下位概念から発せられる質問には、安易に答えないよにしています。

結局、それが相手を停滞させてしまうことになるからです。

そもそも階層の異なる世界の記述を、同じ世界のもとして語ること自体に無理があります。

例えば、猫と犬を動物の世界で同一視して語っていくようなものです。

脱構築すれば、猫>動物ということになりますが、低階層の領域でそうした表現をした場合、怪しい人だと思われるのが関の山(多く見積もってもそこまでだということ)でしょう。

この場合も、なぜ?そうなのかを説明してから、使用する必要があります。

言葉を置き換えることによって、それをイメージとして認識できたとしても、下位概念と「同一化」することはできないからです。

また、視点の低い人が、上位概念を下位概念に置き換えようとする時、つまり、「ルサンチマンを別な言い方をすれば、お金がない、時間がない、自信がない、ということです。」と無理やり自分の世界観に押し込もうとする時。

その考え方自体にルサンチマン的な心理を垣間見ることができます。

自我によって統合されたパーソナリティと社会との関わりを説明する概念(アイデンティティ)の戯れを抑え込むために、自分が理解できる世界に無理やり取り込もうとするわけです。

しかも、自覚のないまま・・・

別な言い方をすれば、事象を理論的に考えることができず、感情が優先している状態です。

したがって、感情に流され、今起こっている事実がどんどん汚されていきます。

こういう状態のことを、「事実との接触面が汚されていく」という表現をすることもあります。

大切なことは、感情に絡め取られないように、上位概念から冷静かつ客観的に分析していくことです。

特にコーチングやコンサルに携わる方には、そうした俯瞰力、つまり、相手の置かれた状況や類似性、思考プロセスなどを上位概念から冷静かつ客観的に分析していく能力と態度が必要です。

ただし、これは視点が高まらなければ、理解できないことかもしれません。

私の言うことが「批判」に聞こえてしまう可能性もあるからです。

ではまた。

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