ライフプラン最適化マスタープラン③──フラストレーションの正体と「ことばのマネジメント」

フラストレーションの正体──「コントロールできないもの」をコントロールしようとしていないか

ウェルビーイングを整える一歩

アーユルベーダ体質(ドーシャ)を3分でセルフチェック

いまのあなたの傾向(ヴィクリティ)を簡易判定。
結果はPDFレポートで保存でき、日々のセルフケアのヒントもついてきます。

  • Vata / Pitta / Kapha の割合を可視化
  • 暮らしの整え方(食事・睡眠・運動)の要点
  • そのまま PDF で保存・印刷 可能
ドーシャを判定してみる

※ 医療的診断ではありません。セルフケアの参考情報としてご活用ください。

この章では、あなたの成長を妨げているフラストレーションの正体を、少し視点を変えながら整理していきます。
前回までに扱ってきた3つのスキルに、「第4の武器」としてプランニング・スキルを組み込むためには、その前にどうしても越えておきたい「見えない障害」があります。

少し肩の力を抜きつつ、しかし本質からは逃げずに進めていきましょう。

セルフヘルプ本に出てくる「10の障害」は、すべて同じ根っこを持っている

自己啓発やセルフヘルプの世界では、成長を妨げる典型的な障害として、次のようなものがよく挙げられます。

  • セルフコントロールが不十分
  • 自己評価が低い
  • 欲求を満たす手段が見つからない
  • 決断力が不足している
  • 問題解決スキルが欠けている
  • 協力者がいない
  • 言い訳が多い
  • 学ぶことに無頓着
  • エネルギー不足
  • 怠惰でルーズ

一見バラバラに見えるこれらの10項目ですが、よく観察すると、2番目から10番目までは、すべて「セルフコントロールのあり方」と深く結びついていることが分かります。

つまり、私たちの思考と行動の扱い方が、すべての土台になっているということです。

「セルフコントロールできない=ダメ」という思い込みが、悩みを増幅させる

では「セルフコントロールができていない」とは、いったいどのような状態でしょうか。

一般的には、

  • 感情が抑えられない
  • 行動をコントロールできない
  • 健康管理・お金・時間などがガタガタになる

といったイメージが語られます。

そこで多くのセルフヘルプ本は、

  • 感情をうまくコントロールしよう
  • 行動を意識の力でコントロールしよう

という方向に進みます。ところが、ここに大きな落とし穴があります。

「感情や行動そのものを直接コントロールしようとする」のは、原則として不可能に近いのです。

「セルフコントロールできない自分はダメだ」
「思うように感情を扱えない自分は成長していない」

こうしたラベルを自分に貼ってしまうこと自体が、新しい悩みやフラストレーションを生み出しています。

実際には、上で挙げた10項目のどれかに悩んでいる人ほど、成長のきっかけを多く持っているとも言えます。問題があるからダメなのではなく、「問題のとらえ方」が私たちを苦しめているのです。

本能と「世間の目」のあいだで揺れる私たち

エス(本能)と超自我(世間のルール)という2人の「支配者」

私たちの内側には、ざっくり言えば2つの力が同居しています。

  • エス:快楽や欲求を求める本能的な衝動
  • 超自我:「こうあるべき」「こうしてはいけない」という社会的ルールや道徳心

たとえば、

  • 休みたい、ラクしたい(エス)
  • でも、サボってはいけない、ちゃんとしていなければ(超自我)

といった綱引きが、ほとんど常に私たちの内側で起こっています。

赤信号で渡ろうとして、「でも人が見ているからやめておこう」と立ち止まる。
これは、エスよりも超自我の声を優先した瞬間です。

そして、この「世間の目」「罪悪感」「背徳感」は、幼少期からの教育や経験を通して、じわじわと私たちの内側に刷り込まれていきます。

重要なのは、

  • エスの世界には「善悪」という概念はない
  • 善悪の判断は、あくまで「社会的な基準」と比べたときにはじめて生まれる

ということです。

私たちはこの2つの力のあいだで揺れ動きながら、意識=自我を使って、なんとかバランスをとって生きています。
だからこそ、感情や行動を完全にコントロールし、欲望を100%満たしながら生きることは、そもそも構造上不可能なのです。

「不可能なこと」をコントロールしようとするほど、苦しみは増える

自己啓発の世界でよく語られる、

  • 「自分らしく生きるべきだ」
  • 「愛と貢献に生きよう」

といったメッセージは、たしかに美しく、心に響く言葉です。

ところが、それを「完全に実現しなければならない」と信じてしまうと、

  • 本能的な欲求を押し込めすぎる
  • 現実とのギャップを「自分の未熟さ」のせいにする
  • 「理想の自分」と「現実の自分」の距離に、常に自己嫌悪を感じる

という状態に陥ります。

つまり、もともと存在しなかった「障害」を、自分で作り出してしまうのです。

とはいえ、ここで一つ重要なポイントがあります。
それは、

障害がゼロになることが理想ではない
障害との「付き合い方」が変わることこそが、成長である

という視点です。

Life Plan Pro PFD v2 で、意思決定に直結する試算を

数字の裏側(リスク・感度・逆算)まで1画面で可視化。
未来の選択を「意味」から設計します。

  • モンテカルロで枯渇確率と分位を把握
  • 目標からの逆算(必要積立・許容支出)
  • 自動所見で次の一手を提案

コントロールする対象を変える──感情ではなく「ことば」を扱う

意識は「行動を止める」ことしかできない?

すこし視点を変えてみましょう。

現代の脳科学や認知科学の研究は、私たちの直感とは逆のことを示唆しています。
ざっくりと言えば、

  • 行動の「きっかけ」は、かなりの部分が無意識で決まっている
  • 意識(自我)は、後から理由を説明したり、ブレーキをかけたりする役割が強い

ということです。

つまり、「意識が行動を完全にコントロールする」という前提自体が、かなり怪しいのです。

それにもかかわらず、

  • 意識で感情をコントロールしよう
  • 感情を整えて、行動を変えよう

という順番でアプローチしようとするから、うまくいかない。
この「前提のズレ」が、余計なフラストレーションを生み出しています。

私たちの行動を動かしているのは「事実」ではなく「ラベル」である

では、何をコントロールすればいいのでしょうか。

ここで一度、私たちの日常を静かに観察してみてください。

  • 欲求
  • 感情
  • 行動
  • 意志
  • 規則・ルール
  • 自分・自己・自由・愛・幸せ・豊かさ …

これらを形づくっているものは何でしょうか。
そう、「ことば」です。

私たちは、

  • 「安い」「限定」「お得」「レア」
  • 「普通はこうするものだ」
  • 「ちゃんとすべきだ」

といった言葉に反応し、安心したり、焦ったり、買い物をしたり、自己嫌悪をしたりしています。

決定的なのは、起きている「事実」そのものではなく、その事実に貼りつけられたラベルやストーリーです。
このラベル付けこそが、私たちの感情や行動を動かしています。

最優先でコントロールするのは「状態」ではなく「ことば」

ここまで整理すると、次のような結論が見えてきます。

  • 感情や行動を直接コントロールしようとすると、かえって苦しくなる
  • しかし、感情や行動を「動かしていることば」は、自分で選び直すことができる

たとえば、上司から、

  • 「今月あと◯◯円売上が足りないから、頑張ってくれ」

と言われたとき、あまり心は動かないかもしれません。
しかし、主治医から、

  • 「今の生活を続けると、数年以内に命に関わります」

と真顔で告げられたら、多くの人は行動を変えようとします。

この差を生み出しているのは、「事実」そのものではなく、本能に届くことばの選び方です。

もしあなたが、

  • もっとエネルギーを出したい
  • もう少し負荷のかかるチャレンジに踏み出したい

と感じているなら、未来へのふわっとした期待を盛り上げることばではなく、

  • 「これをやらなかったら、何を失うか」
  • 「いま動かなければ、どんな後悔が積み上がるか」

といった、現実と本能に直結することばを、自分に向かって意識的に使ってみる価値があります。

「ことばのマネジメント」が、プランニングスキルの土台になる

ここまで見てきたように、

  • 障害とは、本来「ないもの」にことばで輪郭を与えたもの
  • セルフコントロールは、「感情や行動をねじ伏せること」ではなく、「ことばの選び方を変えること」

だと言えます。

ライフプランを描き、最適化していくプロセスは、未来のキャッシュフローを設計する作業であると同時に、

  • どのようなことばで自分の人生を語るのか
  • どのようなラベルで出来事を意味づけるのか

を選び直していく作業でもあります。

この章で扱った視点は、

  • 「どうすれば、感情やモチベーションに振り回されずに、静かに前に進めるか」
  • 「どのレベルをコントロールし、どのレベルは『そういうものだ』と受け入れるのか」

という、プランニングスキルのごく土台になる部分です。

次のステップでは、ここで扱った「ことばのマネジメント」を前提にしながら、具体的にどのようなプランニングの手順を踏めばいいのかを、もう少し実務的なレベルで見ていきましょう。

 

暮らしの輪郭を、内側から描きなおす

すぐに“答え”を出すより、まずは“問い”を整える。
Pathos Fores Design へのご相談・ご質問は、こちらのフォームからお寄せください。

※ 送信内容は暗号化されます。安心してご記入ください。