ネガティブ思考
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前回は「投資行為に伴う収益や損失の可能性について予測しうる限りの想定をしなければならない」でした。今回は、ポートフォリオのリスクと期待リターンの算出方法について解説しましょう。

マネープラン研究:分散投資は必要か?

キャッシュフローデザインの目的は、何と言っても現在の経済状態を改善し、キャッシュフローを生みだし、そのキャッシュフローを有効に活用できるようにしていくことにあります。

そして、個人の家計分野において生活の安定化を測る上でもその周辺知識は極めて重要になってきます。

そしてまた、当然ながら会社経営においてもキャッシュフローの知識は要になります。

したがって、キャッシュフローデザインは、個人のライフデザインや事業のビジョンを実現するために必要な所得や利益を獲得するという役目を担っています。

そのキャッシュフローデザインの一部であるファイナンシャルプランにおける金融資産運用分野では、ポートフォリオ理論やポートフォリオのリスクと期待リターンの関係性について知っておく必要があります。

西洋の格言に「多くの卵を1つの籠に入れるな」というのがありますが、投資で云えば、ある特定の銘柄に集中して投資するのではなく、分散して投資しておくといい、ということになる。

これは、多くの銘柄に分散して投資しておけば、ある特定の銘柄のパフォーマンスが悪いときに、他の銘柄のパフォーマスが良いこともあるということを前提にした考え方だ。

では、実際に分散や標準偏差という尺度でリスクを測った時、分散投資によってポートフォリオのリスクが実際に軽減できるのだろうか?

※ポートフォリオとは、分散投資による証券の組み合わせのこと。

確率と統計を見てみる

分散によって実際にリスクが軽減できているかどうか、確率や統計を見ていくことにしょう。

まず、なぜ分散するとリスクが小さくなるのか、組み合わせによってリスクをゼロにすることが可能なのか、などについて考えてみよう。

分散投資によってリスクがゼロになる場合とは?

例えば、高値水準にある株式Aと、そうではない株式Bという値上がり幅、値下がり幅が同じ2つの株式があると仮定する。

この場合、株式の変動(ボラティリティ)リスクは同じだ。

また、2つの株のトレンド(傾向)もなく、水平だった場合、変化率、期待リターンも平均的には「ゼロ」ということになる。

したがって、安値で買って高値で売る、あるいは高値で売って安値で買い戻すとするタイミング的な戦略を実行しない限りにおいて、どちらに投資してもリスクもリターンも同じことになる。

ところが、この2つの株式を1株ずつ買うことにより、理論上リスクをゼロにすることがでる可能性がある。

なぜそのようなことが可能だと言えるのか?

これは、2つの株式の同じ時点の値上がり益と値下がり益を相殺できる関係が成り立つという前提があっての話だ。

仮にそうであるなら、ポートフォリオ全体の上下変動を減少させたり、なくしたりできる。

今度は、これを統計学の確率論の観点から見た場合はどうだろうか?

ここに、まったく逆方向に動き、上下変動幅(ボラティリティ)がまったく同じだと仮定した株式Aと株式Bが存在したとする。

この2つの株式を等しい金額だけ投資すれば、価格変動リスクは理論上はゼロになる。

一方、完全な逆相関(動き)であっても、変動幅が異なる場合は、投資金額を上手く調整できれば、リスクをゼロにすることは理論上可能だ。ということになる。

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人によっては聞いたこともないような言葉が出て来ると思いますが、そのカテゴリーで勝利するためには、まずそこで使われている言葉の意味がわからないといけません。これは投資の世界に限ったことではありません。まずその分野で使われている専門用語の意味を知る。これは極めて重要な事です。

分散投資よってリスクが変わらない場合とは?

例えば、株式B同様、株価にトレンドがなく、ボラティリティ(変動幅)も株式Aと同じ株式Cがあったとする。

この場合、当然、株式Cのリスクも平均リターンも株式Bと同様になる。

ところが、株式Aと株式Bを1株ずつ組み入れたポートフォリオの変化は「分散投資によってリスクがゼロになる」場合とまったく異なる。

分散投資をしたにも関わらず、リスクが減少することなく、変動幅も変わらないという現象が起こる可能性がある。

では、なぜそのようなことが生じ、どのような時にそうなるのだろうか?

結論から言えば、株式Cの値動きの方向と幅が株式Aとまったく同じ場合にこのような現象が起こる。

つまり、同じ方向に動くものに投資すると、分散投資の効果、リスク低減効果は小さくなるということだ。

したがって、完全に連動して動く2つの資産に投資したところで、リスクはまったく軽減できない。

多くの株式銘柄をみてみると、互いにプラス相関を持っている銘柄は多いが、完全な逆相関を持つものはほぼない。

したがって、これらの株式のみでポートフォリオを組んだ場合、リスクはなくならない。

相関関係と共分散について

もうおわかりのように、ポートフォリオのリスクを算出するためには、各資産のリスクだけではなく、その資産間の相関関係を知る必要がある。

そして、このことは投資の世界に限ったことではない。

例えば、2科目の試験の個人ごとの標準偏差を求めるとき、単純に標準偏差の和と等しくなるわけではなく、大きくなることもあれば、小さくなることもある。

このようなことを共分散という尺度を用いると、次のように表現することができる。

2つの変数の和の分散=一方の変数の分散+もう一方の変数の分散+2×両方の変数間の分散

ここで、変数をAとし、もう一方をBとし、データの組がN個あると仮定したとき、2つの共分散は次のように表現できる。

AとBの共分散=1/N{(1組目のAの値-Aの期待値)(1組目のBの値-Bの期待値)+(2組目のAの値-Aの期待値)(2組目のBの値-Bの期待値)+・・・・・(N組目のAの値-Aの期待値)(N組目のBの値-Bの期待値)}

参考事例▼

例えば、株式Aと株式Bがあり、月次のリターンのデータが下記のとおりだとすると、

1月 2月 3月
Aのリターン 1% 7% 10%
Bのリターン 1% 2% 6%

株式Aと株式Bのリターンは次のように算出されます。

AとBの共分散=1/3{(1-6)(1-3)+(7-6)(2-3)+(10-6)(6-3)}=1/3{(-5)(-2)+{1}{-1)+(4)(3)}=1/3{10-1+12}=21/3=7

両株のリターンが同じ方向に動く場合、ポートフォリオのリスクが大きくなり、逆方向に働く場合は小さくなるという効果が確認できる。

しかし、だからといって、その関連性が強いか弱いかを直ちに把握できるわけではない。

なぜなら、共分散の値がそれぞれのデータの値に依存するからだ。

したがって、各データの標準偏差で基準化した相関係数を算出して相関の強さを把握する必要がでてくる。

相関係数=共分散/一方の標準偏差・もう一方の標準偏差

この相関係数は、常に次式を満たし、その符号は、共分散の符号と一致する。

-1≦相関係数≦1

参考▼

相関係数が正の時、2つの変数には正の相関があるといい、特に相関係数=1のとき、正の完全相関という。

また、相関係数が負の時、負の相関があるといい、特に相関係数=-1のときは、負の完全相関とう。

※相関係数=0は無相関

2銘柄からなるポートフォリオのリスクと期待リターンを算出する

互いに完全に同じ方向に動かないものに等しく投資した場合、ポートフォリオ全体のリスクは減少することは先に述べた。

そして、完全に同じ方向に動く2つの株式に投資をするとリスクはまったく減らないということも説明した。

それでは、2つの株式が完全に相関していない時、あるいは均等に投資していない時のポートフォリオのリスクはどうなのか?

※ポートフォリオリスク=(株式Aの投資比率)×株式Aのリスク+(株式Bの投資比率)×株式Bのリスク+(2×株式Aの投資比率×株式Bの投資比率×株式Aのリスク×株式Bのリスク×株式Aと株式Bの間の相関係数

参考事例▼

例えば、2つの株式があり、それぞれの期待リターン、リスク、相関係数が以下のようなケースを考えてみよう。

株式A 株式B
期待リターン 4% 10%
リスク(標準偏差) 10% 15%
相関係数 -0.6%
投資比率 40% 60%

上記の場合、ポートフォリオの期待リターンは2つの株式の期待リターンを投資比率(0.4,0.6)で加重平均することによって求められ、その値は7.6%になる。

そして、上記の計算式にあてはめて計算した結果、ポートフォリオのリスクは7.3%ということが確認できる。

上記の数値列は投資金額が、それぞれ4割と6割だがポートフォリオのリスクはこの投資比率によって変わる。

例えば、株式Bの投資比率を0%から10%刻みで増やし、同時に株式Aの投資比率を100%から10%刻みで減らしていくことにする。

そうすると、どのように変化していくだろうか?

効率的フロンティア
図1-7

図1-7は2銘柄からなるポートフォリオの期待リターンとリスクの関係を示したものだ。

では、この曲線が個人投資家や家計のファイナンスにとって意味するものはなんだろうか?

点Bは、投資家が株式Bにのみ投資した状態を示している。

ピンクの点MVは投資家がポートフォリオのリスクを最小にする選択をした状態を示している。

点MVから点Aの曲線で示される投資選択は、他の場合と比べて劣っていることがわかる。

例えば、点Aは株式Aのみに投資していることを示している。

点Aのリスクが10%で、リターンが4%であるのに対し、株式Aに25%とBに75%の投資をしたポートフォリオのリスクもおおよそ同じになる。

しかし、株式Aに25%とBに75%の投資をしたポートフォリオの期待リターンは、Aのみに投資した場合よりも高くなる。

こうしたことから、点MVから点Aの曲線で示されるポートフォリオよりも、点MVから点Bの曲線で示されるポートフォリオの方が期待リターンとリスクの両方の観点からみて優位であることが確認できる。

この点MVから点Bまでの曲線のことを「効率的フロンティア」という。

では、この「効率的フロンティア」のどこを選択すればよりベターな結果を得られるのだろうか?

まず言えることは、特定の1点に決めることは出来ないということだ。

例えば、高いリターンを期待する投資家はできる限り点Bに近いポートフォリオを選択するだろう。

一方、リスクを嫌う投資家はできる限り点MVに近い点のポートフォリオを選択すると予想できる。

このように、最終的には、投資家のリスクとリターンの度合に応じて選択が行われることになる。
また、効率的フロンティアの考え方を実践する場合に注意しなければならないことがある。
それは、フロンティアが過去のデータによる期待リターンとリスクに基いて計算されたものとは違う場合があるからだ。
したがって、過去のデータを用いた効率的フロンティアを利用する場合には、それはあくまでも利用可能な情報の1つに過ぎないということを忘れてはいけない。

3銘柄以上からなるポートフォリオのリスクと期待リターン

今度は、3銘柄以上からなるポートフォリオのリスクと期待リターンについて考えてみよう。

これまでと同じように、このポートフォリオの期待リターンは、3銘柄の期待リターンを投資比率で加重平均したものになる。

例えば、Cの期待リターン=1%、標準偏差で表したリスク=5%、AとCとの相関係数=0.3%、BとCとの相関係数=0.1%と仮定する。

投資可能領域
図1-8

この時、2銘柄に投資した場合と大きく異なる点は、投資選択ポイントが曲線上ではなく、図1-8のような平面的な領域になるということだ。

この領域のことを投資可能領域、あるいは合成可能領域、投資機会集合という言い方をする。

この投資可能領域の任意な点に投資することは可能だが、どこに投資をすればいいのだろうか?

例えば、ポートフォリオDを投資先として選択する投資家はいるだろうか?

この図からもDよりも期待リターンが大きくなる方向のポートフォリオ、またはリスクがより小さくなる方向の選択が十分可能なことがわかる。

したがって、合理的な投資家ならDの左上を選択するだろう。

ここでも効率的なフロンティアは右上がりの曲線となっているので、期待リターンをより高くするためには、より大きなリスクを取る必要があることがわかる。

この関係性をリスクとリターンのトレードオフと言う。

ごらんいただいたように、効率的フロンティア上では、リスクとリターンを同時に好ましい方向に変化させることは出来ないという結論に至る。

次回は、慎重に投資銘柄を選んで分散投資しても避けられないリスクなどについて解説します。

ではまた。

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