
アイデアの出し方(コンパッショネート・デザイン思考で使う定番手法)
ユーザーの痛み(Pain)を「観察→共感→行動」に変えるために、コンパッショネート・デザイン思考で実際に回しやすい発想法を、使い方・コツ・テンプレ付きでまとめました。文字色はテーマ準拠(追加CSS不要)です。
1. マインドマップ:連想を可視化して広げる
中心テーマから放射状に関連語を広げ、連想の筋と抜けを同時に見つけます。思考の“網”を見える化するのが目的。
使いどころ
- 課題の全体像を掴みたい/論点の漏れを早く洗いたい時
- 初期ディスカバリーで「何が分からないか」を炙り出したい時
5分テンプレ(コピペOK)
中心:[解きたい問い] 枝A:ユーザー/状況/制約 枝B:現行体験(良い/困り) 枝C:感情(単語+強度1-10) 枝D:ビジネス条件(費用/時間) 枝E:規制・リスク → 太線=重要、点線=仮説、×印=不要
2. ブレインストーミング:評価を止めて量を出す
発散(量)→収束(選択)を分けて行うのが鉄則。評価混入はNG。司会は「時間・ルール・書記」を死守。
進め方(15分発散 → 10分クラスタ → 5分投票)
- 発散:「批判しない/重ねる/奇抜歓迎/量を出す」
- クラスタ:似た案を束ねて命名(3〜6群)
- 投票:各人3票(目的適合・実行容易・インパクト)
3. SCAMPER:既存を“組み替えて”生み出す
既存体験を7つの視点で揺さぶり、改良や転用の糸口を作ります。1つの案に7問すべてを当てるのがコツ。
質問セット(そのまま使えます)
- Substitute:置き換えられる工程/素材は?
- Combine:他機能・他文脈と合わせると?
- Adapt:別業界の当たり前を借りると?
- Modify:サイズ・頻度・表現を変えると?
- Put to other uses:別用途・別ターゲットで?
- Eliminate:削っても価値が落ちないのは?
- Reverse:順序・立場・チャネルをひっくり返すと?
4. R(Reverse)を使った“ひっくり返し”発想
順序・立場・主客・課金・場所など、前提の向きを反転。奇抜さではなく「痛点が減るか」を基準に採択します。
4-1. 逆の順序
- 事前→事後を逆に:「購入前会員登録」を購入後ワンタップ登録へ。完了率↑、スパム↓。
- カスタマーサポート:問い合わせ前に自己解決フローを案内→有人対応の平均対応時間 -28%。
4-2. 逆の立場(誰がやるか)
- 店舗→ユーザー:サイズ提案を、ユーザー写真×AIのセルフ採寸へ。
- 担当→システム:手動リマインドを行動トリガー自動配信へ。
4-3. 逆の主客(受け手→投げ手)
- FAQ:運営の回答中心→ユーザー事例のベストプラクティス中心へ。
- 評価:星レビュー→使用前後の“変化ログ”投稿へ(成果起点)。
4-4. 逆のチャネル
- オンライン→オフライン:高関与商材は店舗・電話予約へ誘導(不安低減)。
- プッシュ→プル:定期通知を減らし、ウィジェット常駐で必要時だけ呼ばれる設計。
4-5. 逆の課金
- 前払い→成果払い:見積り自動化ツールを案件成約時に従量課金へ。
- 買切り→サブスク:保守・更新・学習を含む運用型の継続価値へ。
5. よくある失敗とチェック
- 奇抜さが目的化:反転後に「安心↑ 努力↓ 透明性↑」のいずれかが改善するかで採択。
- 逆転しすぎ:既存運用との“橋”が無い案はPoCで小さく実験(ロールバック前提)。
- ユーザー不在:仮説は必ず1行ユーザーストーリーに翻訳して検証。
6. そのまま使えるワークシート
6-1. SCAMPERシート(1テーマ用)
テーマ:______________ S 置換:______________ C 連結:______________ A 適応:______________ M 変更:______________ P 転用:______________ E 削除:______________ R 反転:______________ 採択基準:安心↑/努力↓/透明性↑(◯を付ける)
6-2. R(Reverse)クイックチェック
- 順序/立場/主客/チャネル/課金のどれを反転?(複数可)
- 反転後のユーザー行動は「速く/安心して/迷わず」になる?
- KPI(完了率・所要時間・誤操作率)に効く仮説は明確?
- 小さな実験の設計は済んだ?(対象・期間・成功基準)
まとめ
マインドマップで視野を広げ、ブレストで量を出し、SCAMPER(特にR)で前提を揺さぶる。そして「安心・努力・透明性」を採択の物差しに、小さく検証→学習を繰り返す。コンパッション(思いやり)を設計の基準に置くことで、ユーザーにとって本当に助かる解を早く見つけられます。



