
統合モデルを最も直感的に応用できるのは、医療の分野だと彼は言っている。
そして今、世界中でますます多くのヘルス・ケアの実践家たちによって応用されている。とも・・・
ではなぜ、この統合モデルが役に立つのだろうか?
医療の現場では、通常外面的なアプローチを取る。
身体的な組織や器官に対して、手術、薬品、薬物療法、行動療法といったアプローチだ。
医学では、病気は身体的な原因によって起こるというのが常識だ。
だからほとんどの場合、上記のような物理的な治療手段を優先する。
IOSモデルでは、身体的な事象(外面的)であっても、4つすべての視点から見る。
IOSモデル視点から観れば、外面的療法は四分の一にすぎない。
個人の内面的な状態が、身体的な疾患の原因およびその治療手段においてともに重要な役割を担っていることは誰もが認めるだろう。
精神神経免疫学はもちろんのこと、代替療法においても明らかになっている。
個人の内面的な状態は、包括的な医療看護において欠かせない。
そのことについて詳しく知りたい人は「ヘルスデザイン研究」のカテゴリーも参考にしてほしい。
例えば、イメージ療法、自己催眠療法、心象(イメージ)の自覚的使用は、ほとんどの病気において重要な役割を果たす。
その治療の結果は、感情や精神状態に左右される。
こうした重要な主観的要素は、共有される文化的価値観、信仰、世界観に存在している。
ある文化が特定の病気をどのように解釈するかが、個人の病気に対処する内面的な態度に大きく影響する。
それは直ちに外面に顕れ、個人の身体的な病気そのものにダイレクトに影響する。
私たちが構成するいかなるグループにおいても、人間感の交流に決定的な役割をもつ間主観的な要素を含んでいるからだ。
医者と患者とのやり取りや身近の人の態度に影響を受けやすいのだ。
また、「どう伝えるか」ということも含め、文化的な受容や差別、あるいは病気自体が脅かすであろう文化価値なども内包している。
これらの要素は、身体的な病気や治療に大きく関わっているのだ。
もちろん現段階では、これらすべての象限は治療に効果的な要因のみに限定する必要がある。
つまり、それは医師と患者のコミュニケーション・スキル、家族や友人のサポート、文化に基づく病気に対する判断と疾患に及ぼす影響を理解するということだ。
例えば、サポート・グループをもつ患者と、そうした文化的支援がない患者とでは寿命に差があることはわかっている。
こうしたサポート・グループの要素は、包括的な医療看護に対して大きな役割を担っているのだ。
残る象限は、物質的、経済的、社会的要素だ。
この領域は、これまで疾患の一部であると考えられたことはなかっただろう。
でも実際は、他のすべての象限と同じく病気とその治療に対して因果関係を持っている。
例えば、入院先で食料を供給するシステムがなかったら、身体は衰弱していくだろう。
つまり、幻想ではない現実世界では、すべての事象が4つの象限を持っているということだ。
したがって、病気になってもその治療手段を供給できるシステムがないと生存率は低下する。
つまり、それぞれが隔離された問題ではなく、すべてが中心的な問題なのだ。
環境公害対策は言うまでもないが、経済、保険、供給システム、病院の部屋のレイアウトに至るまで、あらゆることが個人の治癒と関連しているのだ。
外傷のみで外面的な治療だけで足りる場合もあるが、ほとんどの病気は、感情的、心的、スピリチュアルなどの要素を内包している。
世界中の研究者たちによって、病気とこれらの関係性が明らかにされてきた。
大切なことは、すべての象限にレベルという視点を加えることだ。
それで、さらに包括的で効果的な医療モデルが可能になってくる。
だから、効果的で包括的な医療プランを考える場合、全象限・全レベルを含んだものであってほしい。
真に統合的な治療を心がけるなら、これらすべてを視野におさめる必要がある。
このタイプの治療方法は、より効果的なだけではなく費用面でもより効果的だ。
だから、このタイプの医療に医薬品や医療会社までが注目している。
統合ビジネス
この統合モデルは、ビジネスの世界でも爆発的に関心が高まっている。
その応用結果が非常に直覚的で堅実だからだ。
象限は、その商品が生き残らなければならない4つの「環境」や「市場」を与えてくれる。
レベルは、商品の生産側と買い手側の両方の価値のタイプを与えてくれる。
さらに、AQALの統合モデルに基づいた統合的リーダーシップのトレーニング・プログラムもある。
ビジネス・マネージメントに関しては現在4つの主要な理論がある。
- 個人的な行動を強調する理論
- 心理学的な理解を強調する理論
- 組織の文化を強調する理論
- 社会のシステムとその管理手法を取り上げる理論
もうお気づきだと思うが、これら4つの理論は4つの象限を現している。
統合的アプローチは、この4つすべてを必然的に包合し、そこにレベルとラインを付加する。
だから、豊かで洗練されたリーダーシップモデルが創出されるのだ。
AQALアプローチのスピリチュアリティヘの応用。
それが意図するところは、身体・感情・心・スピリチュアリティという存在のレベルが、同時に自己、文化、自然の領域において行われることだ。
社会参加型のスピリチュアリティから、スピリチュアルな道としての人間関係まで、私たちは、これらすべてを「統合的な生活実践」として包合する。
だから、統合的なスピリチュアリティは深遠で幅広い。
統合的エコロジー
統合的、AQALエコロジーは、インテグラル・インスティテュートの研究者たちによってすでに開発されたが、環境問題に対して、どのように実践的に対処し、それらを改許すべきかについての考え方をともに革新させることができるだろう。
環境問題に関して統合的でも包括的でもないアプローチは失敗する。
内面的な問題と外面的な問題を、ともに考慮しなければうまく行かない。
外面的な環境の問題は、もちろん解決されなければならない。
しかし、内面的な価値と意識の段階が世界中心的な段階まで成長し発達することがなければ、環境は非常に危険な状態に置かれたままだ。
外面的な側面にだけ焦点を当てた解決法は問題を露呈してしまう。
自己、文化、自然は、 一緒に解放されなければ全く解放されないことと一緒だからだ。
いかにそれを行うかが統合的エコロジーの焦点になる。
統合的な生活実践
これらの「IOS(AQAL)の応用例」は、統合的アプローチの理論的な側面に焦点を当てている。
では、気づき、成長、変容、日覚めについての経験的・実践的な側面はどうだろう。
統合的アプローチの実践的、 一人称的、経験的な側面は「統合的な生活実践」と呼ばれている。
統合的な生活実践の基本的性格はシンプルだ。
レベルとして体・心・霊、象限として自己・文化・自然を取り上げ、それらを合わせると成長と目覚めの9つの分野が生まれる。
統合的な生活実践は、これらの最も効果的な個人変容を結び合わせた最初のアプローチだ。
また、これをさらに拡大すると3段階4象限で総計12のゾーンができる。
統合的な生活実践では、この12のゾーンにおいて成長するための実践的な訓練方法をあげている。
これは、成長と発達と覚醒にいたるユニークで歴史的にも前例のないアプローチだろう。