生命保険料控除完全ガイド: 節税と手続きのすべて

生命保険と税金:理解と活用のポイント

生命保険は多くの人にとって重要な財務計画の一部ですが、その税金の扱いについて十分に理解している人は少ないかもしれません。生命保険と税金の関係にはいくつかの重要な側面があり、保険料控除や保険金受取時の税金の扱いなど、適切な知識が節税につながることもあります。以下では、生命保険と税金の基本的な関係について解説します。

保険料控除:節税のチャンス

日本では、生命保険料控除という制度を利用することで、所得税と住民税の節税が可能です。この控除は、年間に支払った生命保険料に基づいて計算され、一定の条件を満たす必要があります。控除額は支払った保険料の金額や種類によって異なり、年末調整や確定申告時に申請することで利用できます。

死亡保険金の税金:相続税と所得税

生命保険金を受け取る際の税金の扱いは、その受け取り方や契約内容によって異なります。一般的に、保険契約者が死亡した場合に支払われる死亡保険金については、相続税の対象となることがありますが、一定の非課税枠が設けられています。一方、契約者が生存中に受け取る満期保険金や解約返戻金には、所得税が課税される場合があります。

保険金を年金として受け取る場合

生命保険金を一時金ではなく年金として受け取る選択をした場合、受け取る年金は所得税の対象となります。この場合、年金所得として申告し、税金が計算されます。年金受取りの開始年には、特定の計算方法により一時所得としての扱いもあり得るため、詳細なルールを理解することが重要です。

贈与税と生命保険

生命保険契約において、契約者が保険料を支払い、受取人が第三者である場合、保険金の受け取りは贈与税の対象となることがあります。この場合、贈与税の基礎控除額を超える保険金に対して税金が課されます。

生命保険と税金の関係は、節税の機会を提供する一方で、保険金受取時の税負担にも注意が必要です。保険料控除を活用すること、保険金の受け取り方が税金に与える影響を理解することは、賢い資産管理のために非常に重要です。自分自身の保険契約とその税金の扱いを正しく理解し、適切に計画を立てることが、節税と資産形成の鍵となります。

生命保険料控除と税金の関係について

生命保険は多くの人が加入している保険商品の一つですが、その保険料が所得税や住民税の節税につながる「生命保険料控除」という制度についてご存じでしょうか。本記事では、生命保険料控除の概要と税金に関する知識を解説します。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、生命保険契約において支払った保険料を所得から一定額差し引くことができる税制優遇措置です。この控除を適用することにより、所得税と住民税の両方において税負担を軽減することが可能になります。

控除の対象となる契約

生命保険料控除の対象となる契約は、平成24年1月1日以降に締結された「新生命保険料」および平成23年12月31日以前に締結された「旧生命保険料」の契約が含まれます。具体的には、生存または死亡に基づいて保険金が支払われる保険契約や、確定給付企業年金に関する規約などが該当します。

控除額の上限と計算方法

所得税の場合、生命保険料控除の上限額は平成24年以降は4万円(従来は5万円)で、住民税の場合は2万8,000円(従来は3万5,000円)となっています。ただし、控除額の合計が所得税で12万円、住民税で7万円までとなっています。

控除の適用方法

生命保険料控除を受けるためには、年末調整または確定申告時に適用を申請する必要があります。保険料の領収書や保険証券など、支払いを証明する書類を準備することが重要です。

生命保険料控除を適切に活用することで、年間の税負担を軽減することが可能です。しかし、控除が適用される条件や計算方法には細かなルールがありますので、詳細をしっかりと把握しておくことが大切です。また、生命保険を選ぶ際には、保険料控除の対象となるかどうかも一つの判断基準となりますので、加入前に確認しておくと良いでしょう。

注意点▼

保険期間が5年未満の契約で、貯蓄保険や貯蓄共済は該当しない。外国生命保険会社などや外国損害保険会社などと国外において締結した契約や、信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯畜契約、財形年金貯蓄契約などは該当しない。

介護医療保険料控除の概要と対象契約

介護医療保険料控除とは?

介護医療保険料控除は、平成24年(2012年)1月1日以降に締結した、医療や介護に関する保険契約において支払った保険料について、一定の金額が所得から控除される税制優遇措置です。この控除を利用することで、所得税と住民税の負担を軽減することが可能になります。

控除の対象となる契約者と保険金受取人

  • 保険金受取人: 保険金の受取人は、納税者本人やその配偶者、および親族(六親等以内の血族及び三親等以内の姻族)が対象となります。

対象となる保険契約

介護医療保険料控除の対象となるのは、以下の条件を満たす保険契約です。

  • 疾病や身体の傷害により保険金が支払われる契約: 生命保険会社や損害保険会社と締結した契約で、医療費の支払い事由に基づき保険金が支払われるもの。
  • 疾病や身体の障害により保険金が支払われる旧簡易生命保険契約や生命共済契約: 一定の条件を満たし、医療費などの支払い事由により保険金が支払われる契約。

控除適用の条件

介護医療保険料控除を受けるためには、年末調整や確定申告の際に適用を申請し、保険料の支払いを証明する書類(保険料の領収書や保険証券など)を提出する必要があります。

介護医療保険料控除は、医療や介護に関連する保険料に対して適用される税制優遇措置です。適切な書類の準備と申告を行うことで、税負担の軽減が見込めます。自身が加入している保険が控除の対象となるかどうか、契約内容を確認し、必要な手続きを行いましょう。

注意点▼上記のうち、保険期間が5年未満の契約で、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済は該当しない。外国生命保険会社などや外国損害保険会社などと国外において締結した契約や、信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約などは該当しない。

個人年金保険料控除の詳細解説

個人年金保険料控除は、将来の安定した収入源を確保するために加入する個人年金保険に支払った保険料を所得から控除できる制度です。この控除を利用することで、所得税と住民税の負担を軽減できます。ここでは、控除の対象となる保険契約の条件と控除額の計算方法について解説します。

控除の対象となる保険契約の条件

  • 保険金受取人: 年金の受取人は、保険料または掛金を支払う本人(納税者)かその配偶者が対象です。
  • 支払期間: 保険料は年金支払いを受けるまでに10年以上定期的に支払う必要があります。
  • 年金支払い開始年齢: 年金は受取人が満60歳になってから支払われる10年以上の定期年金または終身年金が対象です。
  • 重度の障害による年金支払い: 被保険者の重度の障害を原因として年金が支払われる10年以上の定期年金または終身年金も控除の対象です。

対象となる主な保険契約

  • 生命保険会社等と締結した生存または死亡を基にした一定額の保険金が支払われる保険契約。
  • 農業協同組合と締結した生命共済契約など、生存または死亡に基づいて一定額の保険金が支払われる契約。

控除額の計算

  • 平成23年12月31日以前に締結した保険契約: 旧個人年金保険料に関する保険料は、生命保険料控除の上限額内で控除が可能です。
  • 平成24年1月1日以後に締結した保険契約: 新個人年金保険料に関する保険料も、同様に生命保険料控除の枠内で控除できますが、控除額の上限が異なる場合があります。

まとめ

個人年金保険料控除は、将来に備えた個人年金保険の加入を支援するための税制優遇措置です。加入している保険が控除の対象となるか、また控除額の計算方法を確認し、年末調整や確定申告時に適切な申告を行いましょう。これにより、税負担の軽減を図ることができます。

所得税の生命保険料控除額

平成24年1月1日以後に締結した保険契約(新契約)

図表5‐1 所得税の生命保険料控除額(―般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料共通)

年間正味払込保険料控除される金額
20,000円以下支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

平成23(2011)年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)

図表5‐2 所得税の生命保険料控除額(一般の生命保険料、個人年金保険料共通)

年間正味払込保険料控除される金額
25,000円以下全額
25,000円超 50,000円以下(正味払込保険料×1/2)+12,500円
50,000円超 100,000円以下(正味払込保険料×1/4)+25,000円
100,000円超一律50,000円

旧契約と新契約の両方に適用する場合

一般の生命保険料控除または個人年金保険料控除の適用を受ける場合

一般の生命保険料控除または個人年金保険料控除の控除額はそれぞれ旧契約、新契約により計算した金額の合計額(上限4万円)となります。

つまり、控除の区分ごと(一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除)にそれぞれ下記の限度額の計算となります。

図表5‐3 新旧契約がある場合の控除限度額

適用契約控除限度額
旧契約のみで計算した場合50,000円
新契約のみで計算した場合40,000円
旧契約と新契約それぞれで計算した金額の合計額

生命保険料控除額(住民税)

平成24(2012)年1月1日以後に締結した保険契約(新契約)

図表5‐4 住民税の生命保険料控除額(―般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料共通)

年間正味払込保険料控除される金額
12,000円以下全額
12,000円超132,000円以下(正味払込保険料×1/2)+6,000円
32,000円超 56,000円以下(正味払込保険料×1/4)+14,000円
56,000円超一律28,000円

平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)

図表5-5 住民税の生命保険料控除額(一般の生命保険料、個人年金保険料共通)

正味払込保険料控除される金額
15,000円以下全額
15,o00円超 40,000円以下(正味払込保険料×1/2)十7,500円
40,000円超 70,000円以下(正味払込保険料×1/4)+17500円
70,000円超一律28,000円

旧契約と新契約の両方に適用する場合

控除の区分ごとにそれぞれ下記の限度額の計算となります。

図表5‐6 新旧契約がある場合の控除限度額

適用契約控除限度額
旧契約のみで計算した場合35,000円
新契約のみで計算した場合28,000円
旧契約と新契約それぞれで計算した金額の合計額

対象となる保険料

  • その年において生命保険契約などに基づく剰余金の分配もしくは割戻金の割戻し(契約者配当)を受け、またはそれを保険料の払込みに充てた場合には、保険料から契約者配当を差し引いた金額が、生命保険料控除の対象となる正味払込保険料となる。ただし、保険金買増方式など、契約者配当の引出しができない契約の場合は、表定保険料から差し引く必要はない。
  • 払込期日が妻1来した保険料であっても、現実に支払っていないものは含まれない。
  • その年中に自動振替貸付により保険料の払込みに充当した金額は、その年中に支払った保険料とする。従って、自動振替貸付金を後日返済しても、その返済した金額は支払った保険料とはならない。
  • 前納(保険料を数年分あるいは全期間分一括して支払う方法。支払う保険料には所定の割引率が適用される)保険料は以下の算式により計算した金額が支払った保険料となる。
注意点▼

※前納保険料×その年中に到来する払込期日の回数/前納した払込期日の総回数

  • 雇用主が役員または使用人のために支払った保険料のうち、役員または使用人の給与などとして課税されたものは、その役員または使用人の支払った保険料とみなされる。
  • 保険料払込終了後、保険金などの支払い開始日以後に支払われる契約者配当は支払った保険料から控除しなくてもよい。
  • 契約者配当を保険会社に積み立てておく場合であっても、契約者の申し出でいつでも支払いの受けられるものについては、積み立てられたときに支払いがあったものとして支払った保険料から差し引く。

生命保険料控除を受けるための手続き

生命保険料控除を適切に受けるためには、年末調整や確定申告を通じた手続きが必要です。以下に、その手続きの概要を説明します。

年末調整を受ける場合

  • 保険料控除申告書の提出: その年の最後の給与支払い日の前日までに、保険料控除申告書を勤務先を通じて所轄税務署長に提出します。
  • 証明書の添付または提示: 原則として、申告書には保険料の支払いを証明する書類を添付するか、申告時に提示する必要があります。ただし、証明書がすぐに用意できない場合は、翌年1月31日までに提出または提示すれば、年末調整で控除が受けられます。
  • 団体契約の場合: 勤務先での団体契約を通じて保険料を支払っている場合は、勤務先の確認により証明書の提出を省略できます。
  • 月払い契約: 月払いの保険契約に関しては、証明書の代わりに他の書類で証明することが認められています。
    契約締結日必要書類
    9月30日まで1カ月分の保険料など記載の領収書
    10月1日以降第1回保険料充当金領収書

    確定申告による場合

    • 確定申告書の提出: 生命保険料控除を受けるためには、翌年2月16日から3月15日まで(還付申告の場合は1月1日から)の間に確定申告書を住所地の所轄税務署に提出します。
    • 証明書の添付: 支払いの証明書を確定申告書に添付する必要がありますが、年末調整時にすでに提出している場合は、再提出の必要はありません。

    契約者配当と税金

    • 契約者配当: 契約者配当は過払い保険料の事後精算とみなされ、配当が割り当てられた時点での課税関係は生じません。ただし、生命保険料控除や一時所得の計算では、契約者配当を考慮した正味払込保険料を基に計算します。
    • 保険金と配当金: 受け取った保険金が相続税や贈与税の課税対象となる場合、それに伴い支払われる配当金も保険金として取り扱われます。

    生命保険料控除を受けるには、これらの手続きを適切に行うことが大切です。控除を適用することで、所得税と住民税の節税効果を享受できます。

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