iDeCoとどう違う?国民年金基金のメリット・注意点・設計の勘所

国民年金基金について

個人事業主やフリーランス(国民年金の第1号被保険者)の公的年金は、原則として「老齢基礎年金」が中心になります。そこで、老後の収入を自分で“上乗せ”するための制度として用意されているのが国民年金基金です。

国民年金基金は「第1号被保険者の上乗せ年金」

  • 第1号被保険者を主な対象とする上乗せ年金(任意加入)
  • 仕組みは確定給付型(将来受け取る年金の「型」と「口数」を決め、その条件に応じて掛金が決まる)
  • 運用の成果で給付額が変動する「確定拠出年金(iDeCo等)」とは性格が異なる

運営主体(現在の整理)

国民年金基金は、地域の枠組みを統合した全国組織(全国国民年金基金)を中心に、職能ごとの基金(例:歯科医師・司法書士・弁護士など)も存在します。加入時は、ご自身の属性に応じた窓口で手続きを進めます。

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加入できる人(基本)

  • 国民年金の第1号被保険者(原則60歳未満)
  • 60歳以上65歳未満でも、国民年金の任意加入をしている場合は加入できることがある

掛金の上限(iDeCo等との合算に注意)

注意!

国民年金基金の掛金には上限があり、さらにiDeCo付加年金などと合算で上限管理されます。
「国民年金基金だけで上限までOK」ではなく、他制度と足し算した結果で上限に達する点が実務上の落とし穴になりやすいところです。

  • 国民年金基金の掛金は、制度上の上限枠の中で口数を設計する
  • 第1号被保険者がiDeCo等も併用する場合、基金+iDeCo+付加年金などの合計で上限を見ます

年金の種類(終身年金+確定年金)

国民年金基金は、基本的に「終身年金」を土台にして、必要に応じて「確定年金(有期)」を組み合わせる設計です。

1口目:終身年金(A型/B型)

  • A型:保証期間つきの終身年金(一定期間内に死亡した場合、遺族への一時金が想定される型)
  • B型:保証期間のない終身年金(型により遺族一時金の扱いが異なることがある)

2口目以降:終身年金(A/B)+確定年金(I〜V型)を組み合わせ可能

区分概要(イメージ)
終身A保証期間つきの終身年金(支給開始年齢は制度設計上の基本形がある)
終身B保証期間なしの終身年金(受給前死亡時などの扱いは型・規約により確認)
有期(確定)I〜V一定期間受け取る設計。支給開始年齢(60歳開始/65歳開始など)や受給期間(5年/10年/15年など)の組合せがある

また、有期年金(確定年金)を組み合わせる場合、終身年金部分とのバランスに一定の制約(設計上の上限関係)が設けられています。

資格喪失(やめる条件)で押さえるポイント

  • 60歳到達(または、60歳以上で加入した場合は65歳到達)
  • 第2号被保険者・第3号被保険者になったとき
  • 国民年金の任意加入者でなくなったとき(60歳以降で加入しているケース)
  • その他、属性変更(職能型の前提が崩れた等)

税の取り扱い

掛金

  • 掛金は社会保険料控除の対象(所得税・住民税の負担軽減につながる)
  • 年末調整や確定申告に使うための控除証明(掛金の証明書)が発行される

年金受取り

  • 原則として雑所得(公的年金等控除の枠組みで整理される)
  • 遺族一時金は、所得税の課税関係が異なる(所得税は非課税の扱いとされるケースがある)

国民年金基金とiDeCoをどう考えるか(設計の視点)

  • 「確定給付(基金)」は、将来の受取の型が明確で“土台”になりやすい
  • 「確定拠出(iDeCo)」は、資産配分と運用で将来額が動く(自由度と変動の両方がある)
  • 両方を併用する場合は、掛金上限の合算と、老後の収入を「固定(確定給付)」と「変動(運用)」にどう配分するかが設計の要点

次回は小規模事業者のための年金制度などについてです。

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