これまでの事例を観察してみると、仕事を個人の感覚のみで行っていているケースが目立ちます。
これは、ビジネスが煮詰まってしまう原因の1つです。
どうすうれば、そこから脱することができるのでしょうか?
そこで、シンプルで効果的な方法を紹介しておきます。
- 組織図を作成する。
- プロセスマップを作成する
たった一人で起業するとしても、仕事の役割分担を明確にした組織図が必要です。
個人が常に意識していられる範囲や能力には限界があるからです。
ですから、あらかじめ組織図を作成しておいてください。
その上でプロセスを俯瞰するためのマップを作成します。
今はなかなか理解できないことかもしれません。
それでも一度、この手順で自分のビジネスをプロセス化してください。
事業の発展に役立つ時がくるからです。
ビジネスで圧倒的に優位に立つ秘訣
仮に、あなたがたった一人で事業を立ち上げたとしましょう。
一年、1カ月、一日の内に、あなたはいくつもの役割を担うことになります。
たとえば、経理、営業、広報、総務、事務、雑用、課長、部長、専務、社長といったそれぞれのポジションを担うことになります。
また、プライベートでは親、子供、夫あるいは妻、友人、PTAなどの役員などなど。。。
自覚の有無にかかわらず、この全ての役割を担っている事業主は多いです。
見方を変えると、これだけの役割をよくこなしているとも言えます。
でも、これらの役割の全てが満足のいくレベルまで達している。
そう感じている方は極少数でしょう。
すべてが満足のいくレベルに達してないと感じているかもしれません。
実際、起業家の多くは目の回るほど複数の役割を、たった一人で担っています。
優良企業がなぜ優良企業になったのかご存知でしょうか?
たとえば、大手の優良企業は組織編制を綿密に検討、修正し、またその役割を一つ一つ慎重に定義しています。
なぜでしょうか?
すべての生産性が劇的に向上するからです。
ご存知のように、大手優良企業もかつては皆スモールビジネスからスタートしています。
最初からビッグビジネスを展開していたわけではありませんよね。
実は、会社が小さいときから組織図を用いて、明確な役割分担とその定義を定めていたのです。
つまり、優良企業はスタート地点から既に優良企業だったということです。
- 組織図+プロセスマップ
- 役割を明確に定義する。
すでに役割分担と明確な定義があるので、成長過程でその定義に照らし合わせて適任者を採用すればいいわけです。
その定義をマニュアル化することで、他の会社を立ち上げても直ぐに軌道に乗せることができます。
また、一定のクオリテーを維持することにも役立ちます。
収益性はともかく、フランチャイズビジネスなどはその典型例でしょう。
ただし、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、自分がまだ十分に理解できていない仕事を、スタッフに押し付けて野放しにしてはいけないということです。
自分が面倒だからとか、良くわからないからだとか云う理由で、その分野を誰かに任せてしまうと取り返しの付かない事態になりかねません。
私自身それを何回か経験しました。
自分が設立した会社なのに経営者が置き去りにされ、いつの間にか従業員主体の軟弱な組織になってしまったわけです。
これはよくあるケースです。
ですから、業務の移譲というのは正しい手順によって行わなければなりません。
具体的には以下の手順で行います。
- 十分に理解した仕事を数値化
- マニュアル化
- 手放していく
この行程を経て事業を発展させていくプロセスが望ましいです。
最終決定権を手放してはいけません。
ビジネスを管理する
ビジネスにおいて、どんなことを管理すればいいのでしょうか?
従業員(経営者含む)にあなたの期待通りの仕事をしてもらうための管理体制が必要です。
管理すべき対象は、業務の効率化ではありません。
利益を最大にする仕組みの状態を把握し、促進させるための管理です。
つまり、セールス(マーケティング)の効用を最高水準まで高めるための管理です。
なぜ?
ビジネスをする最初の目的は、利益を得ることに他ならないからです。
したがって、管理システムを所有する最初の目的は効率化ではなく、利益を最大化することです。
たとえば、利益が最大化する経には以下のようなプロセスが考えられます。
- 顧客の不満を解消できる商品・サービスを提供する。
- その利益をうまく循環させて事業を発展させる。
- もっと多くの人や社会に貢献できるようになり、さらに利益が増える。
利益を最大化するための営業マニュアル、業務マニュアル、それらを遂行するための管理基準を設ける必要があります。
しかし、ここで1つの課題に突き当たります。
その基準をもとに行動するのは機械ではないということです。
ビジネスを衰退させる人
雑な仕事しかできない人は、すぐに改めてもらったほうがいいです。
それができなければ、企画メンバーから外したほうがいいです。
部署を変えるか、辞めてもらうかです。
仕事ができないという意味とはちょっと違います。
その人の考え方が、外面に現れているという意味です。
もし退屈そうに仕事している人がいたとしたら、その人は仕事が退屈なのではなく人生が退屈だと感じている人です。
楽しそうに仕事している人は、人生は楽しいものだと実感している人です。
そもそも、退屈な仕事などこの世に存在していません。
ただ、その仕事が退屈だったり嫌だったりする人がいるだけです。
ビジネスは、精神修養の場でもあります。
事業を通して自分を鍛え上げることもビジネスを行う一つの目的です。
他でもない自分自身を鍛え上げていく方法の一つなのです。
あなた自身が、これを理解できないとしたら、誰もあなたの事業のために働く人はいないでしょう。
なぜなら、あなたの期待通りの仕事をしてくれる従業員など、はじめからどこにも存在してないからです。
自分から率先して仕事したいと思う環境が整ったときに、初めて期待以上の仕事をしてくれるものだからです。
では、彼らに期待以上の仕事をしてもらうためにはどうしたらいいでしょうか?
ビジネスのルールを作る
彼らに期待以上の仕事をしてもらうためには、一定のルールが必要です。
彼らを拘束するための規則のことではありません。
人は楽しいと思えることに対しては率先して行動しますが、楽しいと思えないことはやりたくないのです。
堅苦しい規則などない方がいいと誰もが思っています。
ここで云う一定のルールとはゲームのことです。
ゲーム感覚でできるワークプロセスをルール化することです。
これを自分自身の行動についても行います。
ビジネスゲームのルール
では、早速ゲームルールの参考例を紹介しましょう。
- 働かせることだけを目的にしてゲーム化してはいけない。
- 自分でもやりたくないゲームを他人に押し付けてはいけない。
- 長い間楽しめるものがいい。
- ときどき変化させ、飽きないようにする。
- ときどきゲームのルールを思い出させる。
- ゲームに意味を与える。
いいアイデアが思い浮かばなかったら、現存しているゲームを真似てください。
ただし、アイデアをそのまま使うのではなく、修正して事業内容に即したルールに落とし込む必要があります。
そして、挑戦する価値のあるゲーム内容にしてください。
努力しなくてもすぐ達成できるような目標は設定しないでください。
つまらないので誰も行動したがりません。
また、挑戦する価値のあるゲーム内容であっても、ルールを作っただけでは誰も行動しません。
ゲームの進め方を説明してあげないと、ほとんどの人は行動に移せないんです。
事業の中で行われることですから、そうならないのです。
ということで、ゲームの進め方を考える必要があります。
ビジネスゲームの進め方を考える
「進め方を考える」といってもボードゲームで使用するようなパーツを考えるわけではありません。
伝達方法を考えるという意味です。
どう伝えるか?
これはゲーム内容よりも重要です。
伝える場合は、それを言語化したり図式化したりしますが、伝え方が適切でないとうまく機能しません。
人は感情の生き物だと言われていますが、その感情が言語や映像に左右されやすいからです。
ですから、複雑なものはさけシンプルで分かりやすいものがいいです。
それから、基準が多くありすぎると戸惑いが生じるので、少ないほうが望ましいです。
例えば、次のような要素が必要でしょう。
- 上位概念目標にフォーカスできるようにする。
- 先行指標を設定し、先行指標に基づいて行動できるようにする。
- スコアボードを作成し、ビジュアルに訴えるようにする。
- アカウンタビリティ(責務)のリズムを生み出せるように進める。
上記4つの詳細に関して今回は省略させていただきますが、機会があればまた投稿させていただきたいと思います。
上記4つの基軸は、なんと言ってもハートフルな経営理念です。
管理システムを作り上げる目的が、非人間的な行為を類推させるものであってはならないからです。
ですから、人間性を重視したものでなければなりません。
また、期待以上の成果を望むのであれば、それ相応の環境も準備しなければなりません。
いわゆるソーシャルインテリジェンスとやらが必要になるわけです。
では人間性の何をどのように感じ取ればいいのでしょうか?
そこで、1つの考え方を紹介しましょう。
ただし、仕事に特化した考え方です。
あるメンターコンサルタントは、3つの仕事人格(思考タイプ)があると言っています。
4つの人格という人もいますが、ここは3つの説に従って解説します。
3つの仕事人格(思考タイプ)
- 変化を好む理想主義者
- 管理が得意な現実主義者
- 手に職を持った個人主義者
上記の3つの仕事人格について、個々のバランスは異なりますが、全て一人に内在しています。
この3つの仕事人格をうまくコントロールできた時だけビジネスが発展するという説です。
それでは、各々の特徴を見ていくことにしましょう。
変化を好む理想主義者
- 理想主義者は現実主義者と個人主義者を自分のテリトリーに入れようとしない。
- 理想主義者にとって周りの人は夢の実現を邪魔する障害物以外、何者でもない。
- 理想主義者は変化を好み、革新を願いチャンスを探し続けている。
管理が得意な現実主義者
- 現実主義者はマネジメントが得意、そして計画のスペシャリストでもある。
- 変化を嫌い、問題点を追求し、改善し続け安定を図ろうとする。
理想を求めることも、管理することもとても重要です。
未来を考えることなければ、事業が発展することもないでしょう。
一方、管機能ないと改善することができません。
いずれが不十分だと、事業は衰退していくことになるでしょう。
しかし、お互いにその考え方を理解することができません。
前者は未来思考で、後者は過去思考だからです。
この2つが同じ力で引き合った時に停滞状態になります。
前に進むには、お互いが協力的でなければなりません。
お互いが不得手な部分を補い合ったときには、最強のチームになるでしょう。
手に職を持った個人主義者
- 個人主義者は自分で行動することを好む。
- 仕事の目的は重要ではなく、日々その仕事を決められた手順でコツコツとこなす。
- 結果、目的が達成できれば満足する。
- 目の前に置かれた仕事に対しては多少工夫しますが、難解な理論や抽象的な概念に懐疑的。
考える時間を持つこと自体が、仕事の邪魔になるという考えの持ち主です。
この現実思考の個人主義者の典型的な例が、スモールビジネスを立ち上げたばかりの経営者です。
会社の特定のポジションで卓越した実績や経験を生かして起業する人がほとんどだからです。
この現実思考の個人主義者は、未来思考を排除しようとします。
仕事の時間が止まると思っているので嫌がるのです。
未来思考によって獲られたアイデアを具現化できるのは現実思考です。
でも、未来思考を受け入れようとしません。
その結果、ビジネスチャンスを逃します。
この個人主義者は管理されることも嫌います。
自分の仕事に誇りを持っている個人主義者を歯車のように扱おうとする態度が許せないのです。
一方、マネジメント思考からしてみれば、個人主義者の行っている領域の仕事は全体の一部でしかないと思っています。
蔑ろにしているわけではなく、全体をクールに判断できないと成り立たないポジションなので仕方ないのです。
でも、誇り高き個人主義者はそれを許しません。
その結果、基礎固めやマニュアル化が進まず事業も発展することはありません。
そして、やがて廃業に追い込まれます。
さいごに
私たちのだれもがこの3つの仕事人格を持っていると言われています。
この3つのバランスが整ったとき、驚異的な力を発揮します。
- 未来思考が新しい分野を切り開き、
- 現実思考がそれを具現化して磨き上げ、
- 過去思考が改善を加えシステム化し、コントロール力を増強させる。
上位概念目標、組織図の作成、管理システムの構築などが、なぜ必要なのかお分かりいただけたでしょうか?
この3つをコントロールするためにはルールが必要です。
人の意思は弱いものなのです。
ですから、計画化、ルール化、環境を整えてあげて、始めて行動する気になるわけです。
行動できることが前提ではなく、行動できないことを前提として実行プランを考えることが肝です。
ではまた。