婚姻、離婚、内縁、養子などの定義と相続の考え方
- 相続の前提となる親族・婚姻・親子関係の概要を知る。
- 相続の根拠を知る。
- 相続の開始などを知る。
- 相続の順位、排除などの意義を知る。
- 承継財産の内容を具体的に把握する。
- 法定相続分を知り、相続分を把握する。
- 承認、放棄の内容、手続きについて知る。
婚姻
戸籍法の定めるところにより、これを届け出ることにより効力が発生する。
女性が再婚する場合は禁止期間があり、前婚姻の解消または取り消しの日から6カ月経過した後でなければならない。
その他、近親婚の制限・直系姻族間の結婚・養親子関係者間の結婚が禁止されています。
未成年者の結婚に関しては父母双方の同意が必要とされていますが、父母の一方が同意しない時は他方の同意だけで足ります。
離婚
夫婦はその協議によって離婚することができます。
協議離婚は婚姻と同様届け出によって成立します。
また、当事者間に未成年者の子がいる場合はどちらが親権者になるのかを決めておく必要があります。
その他、調停・審判による離婚、裁判による離婚手続きがあります。
いずれも家庭裁判所にて行いますが、裁判の場合は訴訟を提起し、裁判所の判決によって離婚が決定されます。
離婚訴訟を提起するにあたっては、まず離婚調停を申し立てる必要がありますがこの場合以下の離婚原因の有無が審理されます。
- 配偶者に不貞行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
内縁
婚姻の意思を持って共同生活を営み、社会通念上夫婦と認められているにもかかわらず、手続きをしていないため法律的には正式な夫婦と認められていない関係を云います。
内縁関係の場合は相続権が認められません。
実子
嫡出子と嫡出子でない子に区別されます。
嫡出子は婚姻関係にある男女間に生まれた子のことを指しますが、婚姻関係のない場合でも一定の条件が加わることで嫡出子となる場合があります。
これを準正の嫡出子という言い方をします。非嫡出子との法定親子関係は認知によってはじめて生じます。
養子
生理的な親子関係ではなく人為的な親子関係を指し、普通養子と特別養子があります。
養子縁組をするとその日から嫡出子として認められ養子と養親・養親の血族の間に親族関係が発生し、養親の姓を名乗ることがデキるようになります。
特別養子縁組の場合は実父母との間の相続や扶養義務は消滅します。
相続の考え方
相続とは、亡くなった人にかかる死亡時点の資産や借金などを、亡くなった人と生前関係の深かった人が引き継ぐことを意味します。
相続は人の死亡によって開始すると云いましたが、例外として行方不明になった人について、失踪宣告により死亡したものとみなされた場合(=みなし死亡)にも相続が開始します。
また、法人組織が相続するということはありません。
沿革
戦前の明治憲法家にあっては家督相続という所謂長男優先の単独包括相続性が定められていました。
しかしこのような取り決めは新たに制定された憲法下では明らかに違背するものであったため家督相続性が廃止されるとともに配偶者の相続権が強化され均分相続生などが取り入れられました。
昭和55年の改正では配偶者相続分の増加や寄与分制度などが新設されました。
その後成年後見制度が見直され聴覚や言語機能障害のある人が手話通訳などにより公正証書遺言などを行うことができるようになりました。
根拠
私たちの生活環境は私的財産所有制度を基礎としています。従って、個人の生活は自らの責任において守っていかなければなりません。
そのためにも相続という制度によって財産の承継をしていく必要があります。人の死亡というある意味偶然の事件によってその人が行っていたことが全て一瞬にして消滅してしまったら、社会経済が円滑に機能しなくなります。
このような状態を回避するためにも相続によってその契約上の地位を継承するという必要性があるわけです。
家族間ではお互いに支えあって財産を形成していきます。
故に一定の持ち分を相続する権利が発生し、相続が認められます。これらは、法定相続分や遺留分を考える際に欠かすことのできない視点です。
ではまた。CFP® Masao Saiki
※この投稿はNPO法人日本FP協会CFP®カリキュラムに即して作成しています。