老後プランとライフデザイン・シリーズ№3

老後の人生設計の大きな変化としてはキャッシュフローの手段が違ってくるということです。

人生の前半期は就業による収入が大半ですが、人生の後半期になるとそれが資産運用、公的年金、貯蓄の取り崩しへと変化していきます。

かって退職後は悠々自適という印象がありましたが、最近では、団塊世代を中心に多様で積極的なライフデザインが多くなってまいりました。

米国でも「リインベンティング・リタイアメント」といって、新たな人生を積極的に生き、社会への参加も考えていくといった傾向が強くなっています。

例えば、再就職したり、独立して起業したり、田舎暮らし・海外暮らしといったライフスタイル、或いはボランティア活動・文化活動を中心としたプランの依頼もだんだんと増えてきました。

老後の生活設計は、その時期に応じて大きく3つに分かれます。

公的年金が満額受け取れない時期の60代前半、この間の収入をどう確保していくのかが将来にわたって重要なポイントになります。

再就職・独立起業して収入を確保することができたら安心ですが、それが適わない場合は、公的年金の受給方法、医療保険や死亡保険の見直し、資産運用、貯蓄の取り崩しということになります。

前期高齢期といわれる65歳~74歳のプランとしては、公的年金と安定した資産運用を土台に健康管理に留意していくことが肝要です。

後期高齢期といわれる75歳以降は、一般的に見て病気や介護の問題が現実化してくる時期といえます。健康にいっそう留意していくことはもちろん、次世代への資産継承も視野に入れ、準備していくことが重要になってきます。

このように老後の人生設計をしていくにあたって重要なことは、経済・健康、そして生きがいの3つの面を総合的に重視していくことがポイントです。

ジェロントロジー(加齢学)によりますと、生きがいを感じていられることが、健康を促進し、生活の質を高め、人生を充実させることに直接繋がっていてそれが長生きに通じているといわれています。

日本は世界一の長寿国だといわれていますが、世界一健康な国となると日本は5位です。(1位はシンガポール:2015年時点)長寿=健康ではないということです。

また、長寿になったということは長生きリスクも増加したということになります。長生きリスクとは、健康や生きがい、そして経済への不安を抱えて生きていかなければならない状態のことです。

老後の人生設計の目的は、この不安をできる限り軽減することにあります。

  • これからの老後の人生設計
  • ジェロントロジー
  • 老後の人生設計の留意点
  • ライフデザインを考える
  • 資産の継承

これからの老後

これまでの老後は、どちらかといえば定年退職後の豊かな人生を送れるようにプランニングすることが一般的な考え方でした。

しかし、年功序列賃金体系や終身雇用制度といった雇用慣習が崩壊した昨今では、早期退職のための新たな人生設計も視野に入れたプランが必要になりました。

また、新しい雇用形態として年俸制を採用する企業が増えてきているため、「安定して継続した収入」を得ていくことが難しくなってきており、早い時期から新たなライフプランに取り組む必要性が出てきました。

またこれとは逆に定年退職後でも過去の経験を生かして再就職したり、起業する人も少なくありません。

しかし、そうするためには、在職中から専門的な技能や知識、あるいは資格取得など積極的にスキルアップを行っておくことが重要です。

2016年の今、日本は、急速な少子高齢化に加えて、経済の成熟化、国や地方財政の悪化といった過去には例を見ない危機的な状態に陥っています。

特に少子高齢化による影響は、公的年金制度に致命的な打撃を与えています。

勤労世代が減り、高齢者が増えれば負担と給付のバランスが崩れ年金財源の不足が生じます。

どういうことかというと、これまで以上に自助努力を積極的に行っていかなければ老後に必要な資金の確保ができないということです。

つまり、リタイアメントプランは定年退職を間近に控えた人達だけではなく、若い世代においても取り組んでいかなければならないテーマに変わったということです。

ジェロントロジー(Gerontology)

ジェロントロジーとは老年学ないし加齢学と呼ばれていて、高齢者と高齢社会を総合的・学際的に研究する学問です。
それは高齢者研究の課題が寿命を延ばすことから生活の質を高めることに移行した段階で登場したもので、高齢者のポジティブな可能性に光を当てることを目的としています。
このジェロントロジーを主導する概念は「サクセスフル・エイジング」という考え方で、単に偶然に幸せになったという意味ではなく、成功裏に老いるという加齢のプロセスが含まれています。
そして成功裏に老いた人達を調査した結果、サクセスフル・エイジングは先天的なものではなく、後天的に獲得できるもであるとされました。
この研究によって「老いることは病むこと」「老人に新しい技術を覚えさせることはできない」「高齢者の健康増進は手遅れ」「老化は遺伝によってほとんどが決まっている」といったことが偏見であることが実証されつつあります。
例えば、過去に比べて高齢者がかかる病気の平均数が劇的に減少していたり、動脈硬化、認知症、高血圧、脳卒中などが大きく減少したりしています。記憶力は衰えるものの、加齢と経験により智慧や判断力など思考における賢さは増します。
高齢期でも運動により身体能力、筋肉の大きさ、体力を向上させる事ができます。そしてまた、身体的老化の内遺伝によるものは30%以内にとどまり、他は環境とその人のライフスタイル次第で疾患の進行見込みに多大な影響を持つことが実証研究により明らかにされています。またジェロントロジーの示すところの3つの鍵、
  1. 病気を避ける
  2. 高い精神的・身体的機能の維持
  3. 人生における熱心な活動

ができれば、人間は100歳を超えて生きられる可能性があるといわれています。

老後プランの留意点

老後の計画を適切にうためには多様なライフデザインに基き、それぞれの時期に応じたプランを立てることが大切です。

例えば前期高齢、後期高齢といった大きカテゴリーではなく、60代、70代、80代、90代といったようにその時期の状態に応じてプランニングしていく必要があります。

そのためには個人の身体的・精神的能力の判定を行う必要があります。判断を行うひとつの方法としてロートンの能力7段階モデルというものがあります。 簡略に図式化しましたので、参考にしてください。

 

老後

例えば、知覚・認知能力が低下しているのであれば成年後見制度の活用を検討するなどが必要です。
リタイアメントプランニングは家族構成、収入の状況、加入している年金のタイプ、退職金や企業年金の金額の把握、支出、毎年の貯蓄可能額、住宅について、保障内容、資産の状況、負債の状況などの情報を明確にし、現状を把握して、ライフデザインを考え、支出と収入を見積、キャッシュフロー表とバランスシートを作成し、問題点があれば解決策を練るという流れがスタンダードな方法です。

また、自分が望むライフデザインから先に考え、達成目標を作り、ギャップを埋めていくという方法もあります。

ライフデザインを考える

老後の生活の中心はなんなのか?
再就職、起業、ボランティア活動、趣味など選択肢はたくさんあります。

また生活拠点は、現在の住まいなのか、子どもと同居するのか、田舎暮らし、または海外に移住するなども考えられます。

それから、日常生活費、余暇の費用、住宅費、医療費や介護費などいざというときのお金の準備、子どもへの資金援助など支出の見積、そして資産をどう継承していくのか、などが考えられます。

また場合によっては、色々な支援を受けられる高齢者向けの施設への住み替えも選択肢の一つになると思います。

まず、現在の支出やリタイアメント後のライフスタイルに基いてリタイアメント後の支出のシミュレーションを行っておく必要があります。

リタイアメント後の収入については、継続的な収入と一時的な収入を分けて考えます。継続的な収入がある期間はいつからいつまでなのか、将来に向かって増減はないのか、などの把握が必要です。

公的年金については受け取り開始の時期、金額を確認しておく必要があります。厚生年金基金は、各基金や企業年金連合会から支給されるので請求漏れのないように注意しましょう。また退職金や保険の満期金など一時的収入がある場合は、受け取り時期、金額を予め確認しておきましょう。

収支が明らかになったところで、在職中のライフプランニングと同様、同じ手順でキャッシュフロー表を作成してみましょう。資産と負債を明確に出来たら退職時のバランスシートを作成します。キャッシュフロー表とバランスシートを分析して、問題点や課題を発見し、対策を考えます。

資産の残高を増やす方法は3つです。収入を増やす。支出を減らす。運用して増やす。
貯蓄残高がマイナスになる場合は、運用の見直し、保障の見直し、ローンの見直し、資産の売却などが必要になります。

それでも解消しない場合は、ライフプランやライフスタイルの見直しが必要になります。再就職、配偶者が働く、援助等を見直すなどの根本的な改善が必要になってきます。

投資に関しては、キャッシュフローが大きい順からビジネス、不動産、ペーパーアセット、コモディティとなります。高度な知識と経験が必要な順番も同じです。この4つのカテゴリーに分散できてはじめて分散投資が出来ているといえます。しかし、やり方を間違えると資産は更にマイナスになります。

資産の継承(相続)

資産は物ばかりではなく、伝統や精神、家訓といった無形のものもありますが、ここではファイナンスについてのみお話させていただきます。ファイナンス上の相続は、被相続人予定者の生活設計、推定相続人の生活設計、分割の準備、遺産争いの防止、納税資金の準備などが考えられます。

相続の手順としては、まず相続財産を把握し、相続税の評価額を計算します。次に相続税額を計算し、相続税が発生する場合は納税資金の準備、相続税を減らす、相続財産の評価額を減らすなどの各種設計・準備を行います。そして、財産を遺族にどのように残したいかを考え、それに対する対策を講じ、実行します。

ここで大切なことは、定期的に相続財産や相続税額を見直し、プランのチェックを行うことです。この他にも相続税の対策として生命保険の見直しや運用設計、終末期医療の選択、葬儀の方法、お墓の準備なども考えられます。いずれにせよ有終の美とするための人生プランでありたいですね。

老後の収入プラン

一般的に考えて退職後の収入の柱は公的年金ということになります。受給金額は生年月日と年金加入暦、現役時代の収入(厚生年金・共済年金の場合)によって異なります。

また年金の改正によって受給年齢が引き上げられるようになったため、受給開始時期も生年月日によって異なります。

従って、自分がいくら年金を受け取れるのか確認しておく必要があります。

年金の加入暦については基礎年金番号が分かれば日本年金機構のホームページや年金事務所の窓口で調べる事ができます。記録の漏れや誤りを見つけたら訂正手続きを行ってください。もし基礎年金番号が分からない場合は本人確認書類を持って年金事務所の窓口へ行ってください。

具体的な年金見込み額は、「制度共通年金見込み額照会回答票」で確認できます。ただし、回答票や年金定期便には、共済年金加入期間や厚生年金基金加入期間に相当する「報酬比例部分」は記載されていませんので、別途っくにんが必要になります。

老齢基礎年金を受給する場合、繰上げ受給・繰下げ受給という選択肢があります。繰上の場合は60歳まで可能で、受給額は1ヶ月0.5%の割合で減額され、通常の70%になります。繰下げの場合は、70歳まで可能で、1ヶ月0.7%の割合で増額され、通常の142%になります。一度繰上請求をすると変更できませんので、慎重に選択してください。

なお、60歳代後半以降も厚生年金適用事業所に在職していると老齢厚生年金が減額される場合がありますので注意してください。

  • 公的年金以外のプラン
  • 老後の資産運用
  • 老後のリスクマネジメント
  • 任意後見制度とは

公的年金以外のプラン

「私的年金」つまり企業年金や個人年金、それから「仕事」「資産運用」「資産活用」などがkんが得られます。改正高齢雇用安定法により企業には定年制の廃止、定年年齢の引き上げ、継続雇用制度の導入などが義務付けられています。公的年金を満額受給できるまでの収入を得る方法としては最も現実的な方法でしょう。

ただし、雇用継続にあたっては、金身時間の短縮や給与の引き下げなどの条件変更が行われるのが通例です。またこれまでの経験やスキルを生かして新たな職場で働くという選択肢もあります。

一方、中高年の雇用環境は厳しいため起業という道を選ぶケースも目立ってきました。事業種類によっては直ぐに収入を得ることの出来ないこともありますから、事前の資金計画が必要になります。また資金が潤沢だとしても事業を継続していくことは並大抵なことではありません。

事業を継続していくためには、やはり能力も然ることながら、熱意、そして成功するまで諦めないといった忍耐力の方が重要だったりします。「成功するまで諦めなければ失敗は無い」というのが成功者の哲学です。

再就職、起業の他に持っている資金を運用して収入を得るという方法も考えられます。インフレに対応するためにもある程度必要だと思いますが、リタイア後では、現役時代と比べてリスク許容度が低くなるのが一般的です。従って投資対象の商品リスクを十分理解した上で、安全性を重視した運用を心がける事が重要です。

老後資金が不足する場合や現在の場所意外に済む場合は、マイホームを資産として活用するという方法もあります。住宅の買換えで得られた利益を老後資金に充てルことが出来、付随する費用も削減できる可能性があります。或いは、転居によって空いた自宅を賃貸してキャッシュフローを得るという方法も考えられます。

増築やリホームをして一部を賃貸するするということも考えられます。自宅を担保に資金の貸付を受け相続死亡時に精算する、所謂「リバースモーゲージ」等によって生活資金を確保していく方法も考えられます。

老後の資産運用

金融自由化により金融商品が驚くほど増えました。選択肢が大きく広がった分、商品の選択如何での格差がよりいっそう目立ってきています。金融危機などにより大きな損失を抱えてしまった例も多くあります。いろいろな消費者を保護する法律はありますが、結局、運用責任は個人にあります。

あくまでも自己責任だということを改めて、強く認識しなければなりません。従って、自分がリスクに対してどの程度の許容範囲があるかを認識しておく必要があります。

ポイントとしては退職後のライフスタイルを重視して、リスク許容度に応じたポートフォリオに徹することです。運用にのみではなく、分散、安全性、流動性、収益性のバランスを考慮しつつ組み立ててください。

分散というとペーパーアセットのみの方が大半ですが、それは本来の分散投資ではありません。商品を進められるまま、限られた情報の中から選択しているからそのような事になるのです。投資の可能性というのはもっともっと大きいです。広いです。

お金に色はありませんが、老後の生活に必要な「生活資金」「予備資金」「ゆとり資金」に色分けして、それぞれに見合った選択をすることが重要です。「老後の生活資金」は第二の人生を送るための大切な資金です。公的年金をはじめ、企業年金や個人年金、退職一時金などで確りと確保しておきましょう。

死後の整理資金や万一のための準備資金として予備資金を確保しておきましょう。これらの費用は直ぐに必要になるものではありませんが、老後の安心の為に予め準備しておきましょう。

生活費、予備資金で手一杯!そんなこと言わないでくださいね。第二の人生をエンジョイしてください。ジェロントロジーのこと、思い出してください。今からでも遅くはありません。人生は愉しむためにある!ゆとり資金を確保して、旅行、趣味、創作活動、ボランティア活動などに是非、活かして下さい。

ではまた。

この投稿はNPO法人日本FP協会CFPカリキュラムに沿って記述しています。

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