今回はライフデザインとファイナンシャルパーツ(資産運用・リスクマネジメント・タックスプランなど)の関係性を中心に解説します。
ライフデザインの目的は、個々の価値観に基づく「豊かさ」を最大化することにあります。
そして、価値観には、経済、文化、道徳、環境などに起因するものやその地域ならでは価値など、多くのことが関係しています。
また、シングル、ディンクス、共働きファミリーといったさまざまなライフスタイルがあります。
就業形態についても、会社員、個人事業主のほか派遣社員など多様な働き方があり、そして転職などの機会も多くなってきています。
こうした個人の生き方を方向付けするものをライフデザインと呼んでおり、「ライフスタイル」もライフデザインの一部にほかなりません。
ライフデザインの範囲は実に広く、キャリア、ファミリー、活動、健康増進、健康管理、ファイナンシャル、思考、実行などもそのデザイン(設計)に含まれます。
このライフデザインを具体化させる手段の一つがライフプランです。
ライフプランとは?
ライフデザインの要素の中で自分と家族の将来を設計したも。
それがライフプランであり、それを実現するための経済的な準備を数値化したものをファイナンシャル・プランと呼んでいます。
具体的には、下記の事柄をキャッシュフロー表、バランスシートなどを用いて表現し、シミュレーションを繰り返し行います。
主にそれがファイナンシャル・プランニングにおけるライフプランに該当します。
- キャリアプランとそれに基づく収入予測。
- 住宅取得の具体的な数値プラン。
- 教育資金に関する数値的な計画。
- 老後資金プランなど・・・
これらを踏まえたうえで、次に主だった分野との関係性を視ていくことにしましょう。
※ライフプランやライフデザインについて詳しくは「こちらのカテゴリー」をご参照ください。
ライフプランと代表的なファイナンシャルパーツ
- リスクマネジメント
- 資産運用プラン
- タックスプラン
リスクマネジメント
リスク=危険!
この解釈は、未来の芽を摘むことにつながります。
危険という言葉は行動を抑止するシグナルだからです。
ファイナンシャルプランで言うリスクとは、ブレ幅のことを指します。
リスクが大きい!
これは、ブレの幅が大きいという表現の一つだと思ってください。
上にも下にも大きく振れる可能性があるからリスクが大きい。
そのように解釈していただくと視野も広がるでしょう。
たとえば、左右が入れ替わっても気づかない事がありますが、天と地が入れ替われば大騒ぎになります。
上下の変化はインパクトがあるので、とかく危険と捉えがちなのです。
敏感になりすぎるとチャンスを逃す頻度が増えるので、行きすぎないようにしましょう。
変動リスクは最初から加味しておこう。
そもそも未来は不確実性要素の塊です。
私たちがこれから得るはずの収入は、常にリスクにさらされているのです。
さらに、不測の事態、つまり死亡・病気・けがなど、経済的損失のみが生じるケースもあります。
特に、金融資産や不動産といった類のものには、投機的リスクも含まれています。
ですから、ライフデザインを考える際には、収入、資産運用、死亡・病気といった変動リスクに関してマネジメントが必要です。
さらに、想定外のブレに一喜一憂しないために、メンタルケアの方法を考えておく必要もあるでしょう。
4つのリスクマネジメント手法
なお、リスクマネジメントには、大きく4つの手法が考えられます。
「リスク回避」「リスク軽減」「リスク保有」「リスク移転」です。
純粋リスクについては、保険によってリスク移転を行うのが一般的な方法です。
では、保険によるリスク移転をどの程度の範囲まで活用すればいいでしょうか?
それについては、国の社会福祉制度、社会保障制度による補償内容、企業福祉(企業年金・弔慰金制度など)などによる保障内容を把握したうえで検討する必要があります。
※リスクマネジメントについて詳しくは、「リスク軽減と保険」のカテゴリーを参考にしてください。
資産運用プラン
個人が資産運用を考える際のポイントは、資産形成目標を達成すること。
また、次世代への資産の移転も考慮するケースもあるでしょう。
いずれにせよ、さまざまな目標達成を長期にわたって目指し続けることになります。
資産形成・資産継承の計画に留まらず、個々の目的や目標を達成するために必要な知識やスキルを得る必要もでてきます。
ですから、資産運用を成功させるための習得目標もライフデザインに組み込んでおくといいでしょう。
資産運用の目標を達成するために必要なこと
当然ながら、ライフデザインに基づいて住宅資金、教育資金、老後資金などを「数値化した経済的な達成地点」を目指して資産運用を試みます。
この「数値化した経済的達成地点」のことをファイナンシャル・ゴールと呼んだりもしています。
ファイナンシャルゴールを達成するためには、最低限以下のような要素が必要になるでしょう。
- 収入の増大
- 支出の減少
- 節約
- 資産運用における目的リターンの設定
- リスク許容度などの要素を把握する
これらを総合的に勘案して、ライフデザインを試みてほしいです。
※資産運用について詳しくは、「マネープラン」「不動産活用」「キャッシュフローデザイン」などを参考にしてください。
アセットアロケーションが資産運用の要!?
資産運用の目標達成の要は、アセットアロケーションだと言われています。
例えば、個人資産のアセットアロケーションには、以下のような3つのレベルがあります。
- 価値が大きく変動する資産であり、長期投資を目的とする債権や株式を中心とする証券ポートフォリオ。
- 証券ポートフォリオに短期の流動性を確保することを目的とする預貯金も含めたマネーポートフォリオ
- 不動産やその他の資産を含めた総資産ポートフォリオ。
一般的な平均値をみると、資産構成の6割は不動産、次いで預金、有価証券という順になっています。
日本人の総資産アセットアロケーションの6割が不動産です。
ですから、地価の変動や低金利などを背景に、問題点もさまざまなかたちで生じてきています。
また、不動産ついいては、収益性をより重視した運用、それから証券化によって総資産アセットアロケーションを考えるケースも増えています。
ともあれ、リスク軽減の観点から考えた場合、アセットアロケーション構築の際は、十分な分散投資を考慮する必要があるでしょう。
例えば、ビジネス、株式と債券、国際分散、不動産と金融商品、時間的分散など、それらを総合的に勘案するといいでしょう。
※アセットアロケーションについて詳しくは「分散投資を考えた場合、資産配分によって投資成果が大きく変わる」などをご参照ください。
タックスプラン
投資を行う際には、金融機関などの外部に支払う手数料や税金の負担などは無視できません。
運用資産に係る手数料や所得税など、税金について綿密に検討して運用を行う必要があるからです。
特に譲渡所得や相続にかかわる税金、証券税制などについて総合的な判断は欠かせません。
税制の選択によってキャッシュフローは変わる?
また、資金計画を考える際、税制に関して複数の選択肢がある場合もあります。
こうした場合、その選択によって税コストと税引き後のキャッシュフローが異なります。
つまり、どれを選択すると税引き後のキャッシュフローが最大になるのかを知っておく必要があるのです。
収入(売上)、支出、資産保有、資産運用、資産譲渡、借入、贈与、相続、それぞれの場面には必ず税コストの問題が絡んでくるからです。
ライフデザインに基づく包括的なファイナンシャルプランを実践する上で、タックスプランは欠くことができません。
※タックスプランの詳細については「タックスプラン」を参考にしてください。
ユニークなライフデザインを!
資産形成が税制という枠組みと切り離せないのと同様、私たちの人生はどんなことを学び、何を所有するか、誰と一緒にいるか、どんな仕事をしていくのかといった環境に大きく依存しています。
雇用形態や賃金形態の変化、個人に対する資産価値評価の変化、こうした環境変化にスピーディーに対応できる能力を鍛える必要もあるでしょう。
また、インターネットなどの普及により小さな存在が、経済の流れを大きく変えられる時代にもなりました。
個々の特性に即したアプローチ方法が必要なのは言うまでもありませんが、これまで以上にユニークさが際立つようなキャリア形成が必要になるでしょう。
それではまた。。